[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.10 システムとしてのドローンを考える

2016-06-20 掲載

ドローンをシステム的に解剖する

ドローンが業務に活用されていくに従って、既存の機体を飛行させるだけでなく、より業務に適した利用が求められています。ドローン技術全体をきちんとシステムで捉えていくことが必要となってきます。

システムとしてのドローン
SPRING10_Drone_Framework

ドローンシステムは主に以下の4つのリソースによって成り立っています。

  1. 機体上のフライトコントローラー
  2. 機体上のコンパニオンコンピューティング
  3. 地上側のPC、タブレット、スマホ
  4. クラウド

1.フライトコントローラー

SPRING10_FC1_1

世界の潮流から見れば、現在2つの流れに収斂してきています。一つは世界でNO.1のシェアを持つDJIのNAZA V2やA2のほか、新しく発売されたA3など。もう一つはDronecode陣営のPixhawk、NAVIOやSnapdragon Flyとなっています。

そのほかにも独自で開発されているケースもありますが、DJIの開発リソースの豊富さや、Dronecodeの示すオープンイノベーション(よってたかって開発を進める動き)の前では、どうしても開発のスピードについていくことが難しくなっています。このフライトコントローラーがまさにドローンを“自律”たらしめるもので、人間の機能でいうと筋肉や“反射”に近いようなある種の肉体性を感じさせるものです。フライトコントローラーに以下のようなセンサーが内蔵もしくは接続されることで、“自律”を行っています。

  • ジャイロセンサー:回転する変化(加速度)を検知
  • 加速度センサー:移動により生じる加速度を検知しどの方向にどれくらい動いたかを計算
  • 気圧センサー:気圧差を計測し、高度変化や高度位置を計算
  • 磁気センサー:方位や場所に起因する磁気の変化を捉える
  • 超音波センサー:対象物からの距離を監視する
  • ポジショニングカメラ:対象物の形状や色などを認識してデータ化して位置情報などに利用
  • GPSユニット:衛星からの信号を拾って位置を特定する

このフライトコントローラーに対して、今後新しい機体制御用のセンサーが付加されていくことで、“自律”の精緻さが向上していくことになっていきます。

2.コンパニオンコンピューティング

SPRING10_companion

このコンパニオンコンピューティングは、昨年ぐらいから急速に動き出しています。フライトコントローラーのCPUが主にARM系のレスポンシビリティ性が高いものが使われるのに対し、コンパニオンコンピューティングのCPUは、より処理能力が高いNVIDIAやINTEL系のCPUが使われる傾向にあります。これは、フライトコントローラーが筋肉や反射といった肉体系の機能なのに対し、いわば人間の脳にあたる機能となっています。

現在、このコンパニオンコンピューティング上で、画像解析による衝突回避や他ドローンとの群制御といったものが開発され始めています。この開発が進み、人工知能(AI)が活用されていくことで、ドローンは自らが判断し目的に応じて航行していくでしょう。現在、一番ホットな開発領域と言って良いでしょう。

3.地上側のPC、タブレット、スマホ

SPRING10_Mission-Planner Mission Planner

このリソースにおいては、現在操作用のアプリケーションやテレメトリーと呼ばれる機体からの情報収集用アプリや自動航行用のソフトウェアなどが開発されています。また、空から収集したデータを解析したり、クラウドにアップロードするためのツールなども作られています。さらに今後、飛行ログの解析も非常に重要なツールとなっていくでしょう。

4.クラウド

SPRING10_dronedeploy Dronedeploy SPRING10_droneshare Droneshare

クラウドでのソリューションに関しては、現在、日本では機体から直接クラウドに上げるための手段がなく(現状、SIMはドローンに搭載して使用することが認められていない等)、地上側のPCやタブレット、スマホというものを経由して送られています。そのクラウド上で主にドローンで取得したデータの処理や解析を行うサービス-ドローンの空撮映像を3Dマッピング化するといったデータ加工サービス、ドローンで撮った画像・動画を共有するサービスなどのサービスが海外では展開され始めています。

また、ドローンの機体や運用やデータを管理するサービスも起こってきています。SIMのドローンへの搭載が可能になれば、よりリアルタイムに機体を管理したり、遠隔地の画像や映像をリアルタイムで送るようなサービスも生まれてくることでしょう。

今後のドローンシステム開発

ドローンの業務利用が進んでいく中で、より安全性も高く正確な業務実行や使いやすいシステムを開発していく必要が生じてきています。その際に重要なのは、ユーザーのニーズに向けて改良ポイントや、自社の強みを生かすポイントが上記のリソースのどの部分が適切なのかを考慮にいれ、システム設計を行きます。

その際、通信の安定性やスピードを考慮していくことも重要になりますし、通信技術の革新だけでなく電波法といった各種法律の動向にもアンテナを立てて情報収集することも重要です。システムとしてのドローンは今後、各種業務の中でますます浸透していくことでしょう。

WRITER PROFILE

春原久徳
セキュアドローン協議会会長、ドローンコミュニティ「ドローンクラスター」主宰。 現在、ドローンの業務活用のコンサルタントやドローンの講習会の企画を行っている。 三井物産のIT系子会社で12年を経て、日本マイクロソフトで12年、PCやサーバーの市場拡大に向けて、日本および外資メーカーと共同で戦略的連携を担当。昨年2014年、独立し、スプリングフィールド株式会社を創業。同社代表取締役社長。

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