[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.14 Dronecodeの変節〜新生Ardupilot.orgとは?

2016-11-24 掲載

前回、「Dronecodeの変節」でDronecodeの変化を記したが、その騒動の中で、DronecodeのFlight Codeから離れることになったArduPilotに関して、今回は取り上げてみたい。

「Ardupilot.org」

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Ardupilot.orgは、Dronecode陣営にあったときから、独立したオープンコミュニティとして組織化されていた。その組織の中心メンバーは現在11名で構成されており、その中心メンバーが各プロジェクトをLeadしながら、日々開発がされている。今回ほぼこの中心メンバーがそのままDronecodeから離脱し、新生Ardupilot.orgとして独立した(現在、グループのわかりやすい名前が検討されていると聞いているが、まだ決まっていない)。

独立に際して、コミュニティを支えるために新たなパートナーを募ることになった。それがArdupilot Partnersである(年間$1000の寄付金が条件)。2016年11月10日現在20社がパートナーとして参加している。

spring_14_app 現在、日本では、エンルートとドローン・ジャパンが参加

ArduPilotの歴史

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ArduPilotの歴史は、まさにドローンの歴史といってもよい。振り返ってみたい。

ArduPilotの礎となったのは、2007年5月にChris Andersonが立ち上げたDIYDrones.comである。DIYDrones.comはLego mindstorms をベースに作られたドローンであった。

2008年9月にJordiが自律航行が可能なシングルローターのヘリコプターを作成し、Sparkfun AVCというコンペで最初の賞を獲得した。

2009年にChris AndersonとJordi Munozは3D Robotics社を創業する。2009年5月には、最初のArduPilot Boardが3DRのJordiによって、リリースされた。その11月には、Jordiによって、ardupilot codeのベースが作られ、最初のバージョンのInertial Measurement Unit(IMU)慣性計測装置が作成された。

そこから、2010年までに、航行制御の基礎となる部分の改良がなされた(V2.5)。2010年には3DRより、最初のフライトコントローラであるAPM1がリリースされ、夏には、APM1を使ったドローン自律飛行のミッションが行われた。また、jDronesによって最初の自作用のクアッドのフレームの販売も開始された。

2010年8月には、最初のバージョンのthe Mission PlannerがMichael Oborneによって、リリースされた。

2011年4月には、Sparkfun AVCで最初の完全自律自動航行が披露された。

2011年、APM2が3DRよりリリース。2011年11月には、Tridgeによって、AutoTesterが作成され、テストの精度が上がった。

2012年、APM2.5/2.6が3DRよりリリース。

2012年2月、現在のArdupilotの体制につながる体制の変更があった。回転翼のLeadを担っていたJasonからRandy Mackayに固定翼のLeadは、DougからAndrew Tridgellにシフトされた。

2012年7月にはPX4がETH/3DRよりリリース。2012年11月には、初めてのAPM2.5の互換フライトコントローラが登場する。

2013年に入って、ardupilot codeがgoogleから現在のgithubに移行された。

2013年初頭には、Android上でのグランドコントロールシステムであるDroidPlannerが Arthurによって、AndroPilotがKevin Hesterによって作られた。

2013年は、様々な飛行の安定化の改良が中心的なDeveloperによって成された。

2013年11月、PixhawkがETH/3DRによってリリースされた。

2014年3月には、NAVIO上で初めてのRaspberry Piを使ってArduPilotを載せたフライトコントローラが発表された。その後、動きは、Linux搭載ボードに拡がっていく。

2014年10月、Dronecode Foundationの設立が発表される。

2015年6月、3DRは、コンパニオンコンピュータが組み込まれたSoloを出荷。

2015年8月、arduplaneで50機が同時に飛行する実験が成功。

2016年3月、3DRがArduPilotコミュニティへの直接的な資金提供を停止。

2016年9月、DroneCode PlatinumのボードメンバーがDroneCodeからArduPilotを含むGPLv3プロジェクトを削除。

ArduPilotの構造

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Ardupilotの上位構造に関しては、現状Dronecodeと変わっていない。 また、Ardupilotの内部構造は以下の通りだが、センサー部の高度化およびCPUの高速化により、今までDronekitを通じてコンパニオンコンピュータ上で実行されていた内容が内部化してきている。

ArduPilotの日本での動き

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ArduPilotの回転翼のLeadを務めるRandy Mackay氏が、軽井沢に在住し、日本語も堪能であるということもあり、日本で独自なコミュニティを作っていく動きがある。11月11日、ArduPilot Team Japan(APTJ)プロジェクトが発表された。

“Randy Mackay(ランディ・マッケイ)x「ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」による、ドローンオープンソフトウェア「ArduPilot」(アルデュパイロット)最新テクノロジー紹介と、日本から世界への発信を目的とした“APTJ”(ArduPilotTeamJapan)プロジェクトとそのエンジニア人財育成事業「第3期ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」を2017年3月25日より開始”

ドローンの技術は、日々進捗していっているが、Ardupilotにおけるデベロッパーの動きは今後とも注目していくことで、その動きや流れというものをつかむことができるだろう。

WRITER PROFILE

春原久徳
セキュアドローン協議会会長、ドローンコミュニティ「ドローンクラスター」主宰。 現在、ドローンの業務活用のコンサルタントやドローンの講習会の企画を行っている。 三井物産のIT系子会社で12年を経て、日本マイクロソフトで12年、PCやサーバーの市場拡大に向けて、日本および外資メーカーと共同で戦略的連携を担当。昨年2014年、独立し、スプリングフィールド株式会社を創業。同社代表取締役社長。

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