[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.17 GROUND STATION PROで進むDJIドローンの産業活用

2017-02-24 掲載

DJIのドローンというとホビー用であり、産業用途ではないという発言を見ることもあるが、現実的には多くの産業用途のシーンでDJIのドローンが使われている。産業用途でのドローンに関しては、その多くが事前にアプリケーションでセットされた航路を自動航行する形で実施されている。

PC Ground Station

そんな自動航行をDJIのドローンで実施するためには、Phantom2やフライトコントローラーA2、NAZA-M、NAZA-M V2などでは「PC Ground Station」で設定が可能であった。現在でもS1000などDJIのフライトコントローラーを使った機体では現場でも使われている。しかしPhantom3、INSPIRE1以降はサポートされなくなり、メインは「DJI GO」にシフトしていた。

Litch

DJI GOが、Waypointを事前設定するモードがなかったため(一旦、手動で飛行させたルートを登録し、その同じルートを航行させるのは可能だった)、Phantom3、Phantom4やINSPIRE1で自動航行させるために使われていたアプリケーションが「Litch」であった。LitchはVC Technology社が開発、ダウンロード販売している、DJIの機体の自動飛行を制御または計画するように設計されたAndroid、iOS用のアプリケーションソフト。産業用途のシーンで使用している人も多く、それだけではなく多機能のため、一般ユーザーにもファンが多いアプリケーションになっている。Litchは自動航行の機能だけでなく、DJIの機体を活用するために以下のような様々な機能がある。

  • FPV:コースロック(有効にした時点の機体の前後の向きが、前進後進の方向に飛行)、ホームロック(スティックを後進にした時、機首がどこを向いていてもホームポイントに向かって飛行し、前進にするとホームポイントから遠ざかる方向に飛行)の機能がある
  • Waypoint:自動航行のフライトプラン作成と実行
  • Follow:Android版のみデバイスに自動追従
  • Orbit:被写体を定め自動で円飛行をするモード
  • Focus:被写体を定めるが機体の移動操作は手動で行うモード
  • Panorama:平面と球面の、360度のパノラマ撮影が可能
  • Track:動く物体を自動追尾
  • ログイン:Facebook へのログイン画面。Litchiのネット上でミッション(Waypoint)の保存、読み込みが可能
  • Record Screen:iOS版のみスマホの画面を録画
  • Virtual Reality 3D:VRゴーグルを使って空中散歩(FPV操縦)が可能

GROUND STATION PRO(GS PRO)

GS PROは2017年1月に発表されたDJIが提供するDJI機体の自動飛行を制御または計画するように設計されたiPad 用アプリだ。

3Dマップエリア

ユーザーが必要な飛行区域とカメラのパラメータを設定すると、効率的な飛行経路を自動的に作成。機体はタスクを実行する間、この経路に沿って飛行する。飛行中に撮影された画像データは、3Dマップを作成するため、3D構築ソフトウェアに入力できる。また、タスク内容を再度利用可能にするための保存も可能。

■カスタマイズ可能な飛行区域
飛行区域は、画面上で自由に多角形を描いて設定することが可能。機体のGPSを利用して、飛行区域の境界線に沿って飛行することで設定することも可能。

■パラメータの調整
写真のオーバーラップ率、高度、撮影アングル、主な飛行経路に対して平行または垂直といった撮影方向、進路角、余白などのパラメータの調整が可能。インターバル撮影や一定の距離ごとに撮影したり、ウェイポイント上でホバリングしながら撮影したりすることも可能。

■インサイドモードとスキャンモード
インサイドモードでは、機体は選択された区域内で飛行経路を自動生成する。スキャンモードでは機体は最速の経路をたどり、指定された区域をカバーする。そのため、定義された区域から外れる可能性がある。

Tap and Goウェイポイントフライト

ウェイポイント飛行経路を設定し、ウェイポイントで実行する操作を決定する。タップすると飛行を開始する。

■複数設定できるウェイポイント
フライトのニーズに応じて、最大99個のウェイポイントを設定できる。

■調整可能なパラメータ
各ウェイポイントでの高度、ジンバルピッチ、カメラの回転(時計回りまたは反時計回り)を事前に設定可能。

■各ウェイポイントで実行できる操作
それぞれのウェイポイントでは、機体の回転、ジンバルピッチ、録画の開始/停止、写真撮影、ホバリングなど最大15の連続操作を設定可能。

VIRTUAL FENCE

Virtual Fenceは特定の飛行区域を設定。また、場所の一部区域が飛行禁止区域である場合や手動で農薬を散布飛行している場合のように限られた区域のみで飛行する状況で役立つ。機体がVirtual Fenceに近づくと、機体はブレーキをかけてホバリングし、飛行区域内に留まる。

■Virtual Fence範囲の設定
Virtual Fenceのサイズと形は完全にカスタマイズ可能。範囲は機体の位置を開始地点として使用して、飛行前または飛行中に作成可能。

3Dマップ POI

3Dマップ POIというモードも今後公開が予定されている。この3Dマップ POIは、高層構造物の詳細なマップを作成することを可能にするモード。対象物を選択し、対象物と機体との距離を設定するだけでGS Proは、構造物を周回するために必要な速度や時間といった関連パラメータを算出。そこで撮影された画像は3D構築ソフトウェアにエクスポートされ、構造物全体の正確な3Dモデルを作成可能となる。

互換性のある製品

GS Proは以下のDJIの機体とフライトコントローラーに対応。

  • Phantom 3 Standard/4K/Advanced/Professional
  • Phantom 4/Pro
  • Inspire 1/Inspire 2
  • Matrice 100/600/600 Pro
  • A3
  • N3
  • Mavic Pro

対応カメラ

  • Phantom 3 Standard/4K/Advanced/Professional
  • Phantom 4/Pro
  • Zenmuse X3
  • Zenmuse X5
  • Zenmuse X5R
  • Zenmuse X4S
  • Zenmuse X5S
  • Zenmuse Z3
※近日公開予定

DJIが発表したこのGS PROは産業用途-空撮、建設業(3次元マッピング・写真測量)、精密農業、監視、検査、探索と救助など-の利用での効率を飛躍的に高め、DJIのドローンがますます産業の現場での活用が進んでいくだろう。

WRITER PROFILE

春原久徳
現在、ドローン関連コンサルティング、ドローンソフトウェアエンジニア育成事業、ドローンによる農業サービス開発を行っている。 三井物産のIT系子会社で12年、米や台湾企業とITコンポーネンツの代理店権の獲得および日本での展開を担当。その後、日本マイクロソフトで12年、PCやサーバーの市場拡大に向けて、日本および外資メーカーと共同で戦略的連携を担当。 2015年12月ドローン・ジャパン株式会社設立。『ドローンビジネス調査報告書2018』『ドローンビジネス調査報告書2018【海外動向編】』(株式会社インプレス)を調査執筆、Drone.jpでコラム[春原久徳のドローントレンドウォッチング]連載中。他にも各産業業界誌で多数執筆。農林水産省、NEDOや各業界団体でのドローン関連の講師を年間60~80回程度行っている。

関連する記事

[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.40 ドローンの技術Update

ドローンの技術分類 ドローンの技術は日々進んできているが、その現状を整理したい。ドローンの技術は大きく分けて、3つに分類される。 一つめが、機体制御であり、自律... 続きを読む

[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.39 携帯電話等の上空利用を考える

7月上旬に官民協議会で議論されている「空の産業革命に向けたロードマップ2020~我が国の社会的課題の解決に貢献するドローンの実現~」が公開された。 2019年から大きく改定さ... 続きを読む

[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.38 DJIの戦略の変遷

DJIの戦略を辿る DJIがMatrice 300 RTKを発表した。このDrone.jpのサイト上でもレビュー記事が掲載され、その内容も上々だ。 ɛ... 続きを読む

[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.37 災害対応のドローン

先月、防災科学技術研究所(防災研)の内山庄一郎先生が執筆した「必携 ドローン活用ガイド-災害対応実践編-」が出版された。この冊子には、災害対応実践について基礎から応用まで網羅されて... 続きを読む

[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.36 ドローンの農業リモートセンシングの現在

筆者は2015年よりドローン・ジャパンという会社を共同経営しているが、ドローン・ジャパンのいくつかある業務の内、中心を成しているのが、ドローンによる農業リモートセンシングである。 ... 続きを読む