[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.19 ドローン操縦スクールに関するQ&A 2017

2017-07-03 掲載

以前週刊プレイボーイの取材を受けて記事になったこともあり、ドローン操縦士関連の質問を受ける機会も多い。

その質問内容は、ドローン操縦士になりたい側からは「操縦スクールに通う必要がありますか」「どの操縦スクールがおすすめですか」「操縦士の仕事が本当にあるんですか」、またドローン操縦スクールからも、少し加熱気味ということもあり「スクールの生徒を増やすにはどうしたらいいですか」「スクールの卒業生に仕事をどうしたら紹介できますか」といった質問を受る。そんなこともあり、スクールの依頼でポストスクールのための講座をオプションとして行っている。今回はそんな双方の疑問に答えてみたい。

Q.操縦スクールに通う必要がありますか?

A.操縦スクールの中には「国土交通省に対する飛行申請のため、認定スクールの受講証明がいる」といった形で勧誘しているスクールもあるが、これは間違いで、このような形で誤った情報を伝えるスクールは注意が必要だ。

2017年6月1日、国土交通省は「所要の要件を満たすことが確認できた講習団体等」をホームページに掲載したが、これは「今後、当該団体等の講習修了者は、飛行許可を受ける際、無人航空機の操縦の知識や能力に関する確認が簡略化させることとしております」ということで、あくまで義務ではなく「当該団体等の講習修了者は、飛行許可を受ける際、無人航空機の操縦の知識や能力に関する確認が簡略化」が可能ということだ。申請のこの部分に関しては、それまでもあまり複雑ではなく、講習を簡略化のためと考えると、時間とコストは合わないと個人的には思う。

国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」ページ

では、操縦スクールに通う必要がないかというとそうではない。例えば今までドローンにまったく触ったこともなく、周りに詳しい人もいないケースではスクールは非常によい入り口になるし、国土交通省の申請において、基本的には自己申告ということもあり、企業として、そのオペレーション経歴に関する証明を残したい場合などには、こういった講習修了証明は役に立つこともあるだろう。

現在、農薬散布用ドローンに関しては、農林水産省によって特別なルールが、国交省の取り決めとは別に定められており、農薬散布用ドローンに関しては機体認定とその機体に応じた操縦者認定というものが必要になっているため、操縦スクールでの指導が前提になっている。

農林水産省「無人航空機(無人ヘリコプター等)に関する情報」ページ

Q.どの操縦スクールがおすすめですか?

A.以下の条件を考えて選ぶのがいいだろう。

  1. なるべく通いやすい環境(場所、日時など)にあること
  2. 自分が行う実技の時間が十分にとられていること。できれば屋外の広い場所で実技が可能なところ
  3. 基礎事項だけでなく、応用コース(各機体の機能、撮影技法、測量、自動航行など)の設定がされているところ。安全管理に関してはより応用の対応力を示すようなコースが設定されているところが望ましい
  4. 修了後も、特に屋外の広い練習場が用意されているところ

実際のスクールで行える実技時間は短いため、卒業後もきちんと実技が行える練習場が必要だが、こういったアフターケアが準備されているところが望ましい。受講料はリーズナブルであることに越したことはないが、あまりそのことを重要視しすぎて、本質を忘れてはいけない。

Q.操縦士の仕事が本当にあるんですか?

A.率直に言って、操縦スクールを終えてすぐに操縦士の仕事がくることはない。それは仕事のクオリティにまだ達していないからだ。仕事のクオリティに大切なのは、ドローンの操縦や撮影というものはクライアントにとって、あくまで手段に過ぎないということを自覚することだ。クライアントは業務の目的を果たすために、ドローンの操縦を依頼している。より正確性や安定性、安全性が求められている。

多くの依頼において正確性や安定性が求められているため、自動航行で行われる業務も多い。自動航行アプリケーションに慣れていることももちろんだが、目的を果たすためにきちんとした航路設定を行う能力も求められる。自らが活動する地域において、飛行のための国交省の許可を事前に取得おくことも必要だ。クライアントによっては、そのクオリティを高めるために専門のトレーニングを行うところも出てきている。操縦スクールも全国で100を超えてきており、そういったスクールからの質問を受ける機会も多くなった。

Q.スクールの生徒を増やすにはどうしたらいいですか?

A.各スクールで一番重要な視点は、各地域でどんなドローン活用の業務が求められているかということを理解することだ。受講生の多くはそのスクールで得た技能を生かして、何らかの業務を行いたいと考えている人が多い。そういったニーズをきちんと捉える意味でも、単なる操縦スクールから、職業訓練を行っている機関であるという認識を持ち、ドローン活用での地域課題の解決に関してきちんと捉え、それをカリキュラムとしていくことが必要だろう。

Q.スクールの卒業生に仕事をどうしたら紹介できますか?

A.ドローンの活用を行うことを検討している自治体や企業に積極的なアプローチを行い、そういった団体が望む知識や技能を身につけさせるためのカリキュラムを設計して、きちんとした人材を育てていくことが重要だ。また、単なる操縦技術だけでなく正確性や安定性、安全性という観点の中でドローン飛行の運用知識やドローンの機能などもきちんと教育していくことが必要だ。

そして最終的には、クライアントの目的を理解するための業務知識やソフトウェアといったものも考慮する必要があるだろう。こういった体制を築いていくことで、各地域のドローン操縦スクールは、その地域での要になっていくことがドローンの業務活用が拡がっていく中で求められている。

WRITER PROFILE

春原久徳
現在、ドローン関連コンサルティング、ドローンソフトウェアエンジニア育成事業、ドローンによる農業サービス開発を行っている。 三井物産のIT系子会社で12年、米や台湾企業とITコンポーネンツの代理店権の獲得および日本での展開を担当。その後、日本マイクロソフトで12年、PCやサーバーの市場拡大に向けて、日本および外資メーカーと共同で戦略的連携を担当。 2015年12月ドローン・ジャパン株式会社設立。『ドローンビジネス調査報告書2018』『ドローンビジネス調査報告書2018【海外動向編】』(株式会社インプレス)を調査執筆、Drone.jpでコラム[春原久徳のドローントレンドウォッチング]連載中。他にも各産業業界誌で多数執筆。農林水産省、NEDOや各業界団体でのドローン関連の講師を年間60~80回程度行っている。

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