[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.22 ドローンの様々なかたちを考える

2017-11-07 掲載

ドローンの役割と用途

ドローンというとマルチコプターを思う人が多いが、実際のビジネス活用の現場では、マルチコプター以外の利用も増えてきている。ドローンの役割は大きく分けると2つある。1つ目が作業をさせるドローン。運搬、散布、切断などがある。2つ目は情報収集を行うドローン。これは、情報をそのまま活用する一般的な空撮と、加工・分析をするための情報収集を行うもので、日本では空撮、物流といったエリアでの活用が扱われやすい。しかしビジネス活用の現場ではDrone as a Service(DaaS)として、ドローンで取得した情報をクラウドで解析し、ユーザーに対してサービス提供を行うものも多く出てきている。

その中で、通常のマルチコプター以外での用途も増えている。狭義のドローンといえば、やはり空を飛ぶものであり、通常のマルチコプター以外ではシングルローター、固定翼、VTOL、変わったところではバルーンなどがある。例えば、当方のドローン・ジャパンでは農業リモートセンシングを中心に業務を行っている。1回の飛行当たりマルチローターだと15分程度のため、6ヘクタールから8ヘクタールくらいとなり(3D Robotics社のSoloを利用)、それ以上の大きさだと固定翼、SenseFly社のeBeeを使って行う。飛行時間は50分程度(1回当たりの面積は40ヘクタールから60ヘクタール程度)。

この際、マルチローター、固定翼のメリット、デメリットがある。マルチローターのメリットは扱いやすさ-運びやすさや離発着ポイントの選びやすさなどある。一方、固定翼のメリットは先に述べたような飛行距離の長さというのが魅力だ。しかし、離陸時は風の方向を考慮するほかはさほど困難さはないが、着陸に際しては、25mプールぐらいの草地というものが必要となる。これは案外なかなか見つけにくい。

そういった点では、やはりVTOL(Vertical Take-Off and Landing:垂直離着陸機)が欲しくなるが、まだまだコストが高い。逆にいえばコストが下がれば、日本市場においても様々な分野でニーズが多くある機体フレームだろう。

現在、ドローン・ジャパンで行っているドローンソフトウェアエンジニア養成塾の卒業生の中では、上記の写真にあるような$250程度のフレームを使い、Pixhawk等のフライトコントローラーで飛行の実証実験を成功させている。まだPayload(搭載重量)が低いためカメラ搭載までいっていないが、リーズナブルなコストでVTOLを実現する可能性が出てきている。

海外においては、空撮目的のマルチローターはDJIのドローンのコストパフォーマンスが非常によいこともあり、機体の開発において固定翼やVTOL、シングルローターを使った超小型機といったところに、その中心がシフトしている傾向がある。マルチローターに関しても、より自律性を高めたドローンの開発-全自動飛行、群制御などにフォーカスしてきている。

そして、最近ドローン活用の相談の中で増えてきているのは、広義のドローンともいえるローバー(陸上)、ボート(水上)潜水艦(水中)である。ドローンのフライトコントローラーでのフライトコードであるArdupilotでは、コードを入れ替えることで簡単にローバー、ボート、潜水艦に変更することができる。例えば施設園芸の中での生育観察などは、こういったローバータイプのドローンのほうが使い勝手もよく安全性も高い。

瀬戸内海の離島間無人搬送プロジェクトを手掛けている株式会社かもめやでは、その離島搬送のメインを「Donbra.co」と呼ぶ無人ボート型のドローンで実証実験を行っている。潜水艦ドローンは、最近、いくつかのメーカーから販売が開始された。

個々のドローンに関しては、まだ技術的な課題がまだまだあるが、こういった新たなジャンルのドローンを活用したサービスの検証がされてきている。このようにドローンの活用が拡がってきており、ドローン関連の機体メーカーやサービス提供会社は、ドローンを柔軟に捉えながらビジネスを構築していくことが重要だ。

WRITER PROFILE

春原久徳
セキュアドローン協議会会長、ドローンコミュニティ「ドローンクラスター」主宰。 現在、ドローンの業務活用のコンサルタントやドローンの講習会の企画を行っている。 三井物産のIT系子会社で12年を経て、日本マイクロソフトで12年、PCやサーバーの市場拡大に向けて、日本および外資メーカーと共同で戦略的連携を担当。昨年2014年、独立し、スプリングフィールド株式会社を創業。同社代表取締役社長。

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