[Drone Design]Vol.07 実用化間近?ドローンタクシーのデザインが面白くなってきた

2019-06-04 掲載

加速するドローンタクシー実用化の動き

ドローンの基本的な飛行技術が確立されてきた影響なのか、はたまた空を飛んで移動したいというニーズが高まっているのか。新しい移動手段としてのドローンタクシーを実用化する動きが一気に加速しています。

最初にドローンタクシーが話題になったのは、2016年のCESで中国のドローンメーカーEHang社が出展した「EHANG 184」のコンセプトモデルでしょうか。2段式ローターで駆動するクワッドアームタイプの一人乗りドローンで、アプリを使って完全な自律飛行が可能というふれこみでした。

当時はドローンの認知度が上がって、CESでも展示エリアが大幅に拡張されたタイミングだったこともあり、見た目が小型の一人乗りヘリコプターにしか見えないことや、「無人じゃないからドローンとはいえない」とツッコミされつつも、新しもの好きなCESの来場者が連日詰めかけ、展示ブースはいつも人でいっぱいという状態でした。

乗るドローン?EHANG、「EHANG184」を発表CES2016

著者自身も取材当時、このままフェイクに終わるんじゃないかと思っていたのですが、翌年の2017年2月にはドバイで実用化のための試験運用を開始。その後も改良が続けられていて、環境に優しい低高度自律飛行型航空機(low altitude autonomous aerial vehicle)として正式に発売されています。

新型の「EHANG 216」

さらに最新型の「EHANG 216」は、6ローターで2人乗りができるカタチにまで進化しています。リリースによると今年4月にはウイーンで開催された「4GAMECHANGERS Festival」というイベントで初お披露目され、これからオーストリアの航空会社と一緒に実用化を進めていくということです。

世界最初のドローンタクシー実現に力を入れるドイツのVolocopter

そして、そんなEhang社よりも実は先にドバイでドローンタクシーを飛ばしたのがドイツのVolocopter社です。見た目はやはりヘリコプターに似ていますが、頭上にあるのはローターではなく、放射状に枝分かれしたサークル状の上に合計18ものローターが配置され、2人乗りの機体は100mの高度で30kmの距離を移動できます。

最も厳しい航空交通規制をクリアできるほど安定した飛行性能を持っていて、超高層ビルの間をすり抜けることも可能なのだとか。実は人を乗せるドローンを開発するキャリアはかなり長くて、2011年に手作りのドローンにそのまま乗って空を飛ぶところからスタートしています。その後、本格的にスタートアップとして開発を続け、現在はインテルとオンデマンドでサービスを利用できるシステムを共同開発するほどの企業に成長しています。

Volo-Portはこんなデザインになる予定

先日発表された最新のプレスリリースによると、シンガポールの民間航空局と運輸省と連携し、今年後半に都市内でサービスを提供するためのテスト飛行を開始するために専用の「Volo-Port」を設置するということです。専用ポートはデザインに定評のあるイギリスのエージェンシー「Brandlab」が手掛けるので、そちらのデザインも気になるところです。

エアバスのドローンタクシーはさすがの完成度

さらにフランスの国鉄にあたるRATPがエアバスと提携して、都市交通としてドローンの運用を開始するという発表もあります。最初はパリからスタートして、主要な都市で展開できるドローンタクシーのソリューションを開発するということで、両社の持つ技術やこれまでの蓄積を活かしていくとしています。具体的に実用化する時期などはプレスリリースには書かれていないのですが、エアバスが公開しているドローンタクシーの機体がとにかく完成度が高く、これならパリの空を飛んでもゆるされるのではないかと思わされるほどです。

ドローンタクシーといえばGoogle創業者の一人、ラリー・ペイジが投資するスタートアップ企業の傘下にあるZephyr Airworks社も「Cora」という機体を開発していて、日々の交通手段として運用できるeVTOLを目指し、ニュージーランド航空と提携して実用化を進めています。

ニュージーランドで開発が進められているCoraのプロトタイプ

2016年末に設立されたZephyr Airworks社は、それより前の2011年からドローンタクシーの開発をスタートしていて、人を乗せたまま垂直栗陸から水平飛行へスムーズに移行できる機体を設計する実験を繰り返していました。4年かけて飛ぶ仕組みはできたものの、人を乗せられるようになるまで3年を費やし、2017年10月にプロトタイプが完成しました。

11mある翼に12の独立したウィンドファンを前後に搭載し、垂直離陸後はかなり大きな尾翼でバランスをとりながら水平飛行で最高時速180kmで飛行するという機体は、他のドローンタクシーとは異なる特徴的なデザインをしています。すでにニュージーランドの民間航空局と米国連邦航空局の両方で滞空証明を取得し、いよいよサービス開始間近ではないかとも言われています。

まとめ

これまでドローンタクシーは主に都心部で高速に移動するための手段として開発されていましたが、一方でニュージーランドのように公共交通が少なく、地形的にクルマでの移動も不便で、環境にも厳しい国でも急速に開発が進んでいます。どこか一つでもサービスが始まればさらに新規参入が増え、さらに独創的なデザインの機体が登場する可能性があります。そしてドローンタクシーをきっかけに、空飛ぶクルマの開発も一気に進むかもしれませんね。

WRITER PROFILE

野々下裕子
フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos
[Writer:野々下裕子]
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