[Drone Design]Vol.08 ドローンが無ければ生まれなかった?!次々登場する空飛ぶバイクたち

2019-07-04 掲載
Hobersurfe社「HoverBike」

実用化が進む空飛ぶバイク

ドローンの定義は「無人」「自律」と言われますが、前回紹介したドローンタクシーのように、人を乗せて空を飛ぶモビリティも含めた幅広いものになりつつあります。なかでもドローン・バイクやホバーバイクと呼ばれる「空飛ぶバイク」たちはここ数年実用化に向けて開発が確実に進んでいて、すでに販売も開始されています。そんな空飛ぶバイクのポイントは何といってもその姿形でしょうか。アニメや映画に登場しそうなデザインそのままで、本当に飛んでいてもフェイク動画と勘違いされそうなほどだったりします。

A.L.I.Technologies社「Speeder」

スタンダードモデルのモック

実用化が進んでいる空飛ぶバイクとしては、東大のスタートアップA.L.I.Technologies社が開発している「Speeder」というホバーバイクがあり、今年3月に公開飛行試験が披露され、予約販売の受付も開始されています。残念ながら実際に飛んでる姿は見ていないのですが、先日取材した展示会でプロトタイプが展示されていたのを見ることができました。

デザインとしてはバイクというよりホバークラフトのようですが、実際に道路で走るのでこういう形になるのかもしれません。

スポーツモデル

けれどもご安心(?)を。展示されていたのはスタンダードモデルで、AKIRAを意識したようなシャープなデザインのスポーツモデルも開発が進められています。フォルム全体もバイクに近いものになっていて、走りを楽しむようデザインされているのが感じられます。浮遊高度もスタンダードモデル地上10センチなのに対し、10メートルの高さで飛べるとのこと。

デモ動画

最高時速100キロ(法定速度?)と抑えられていますが、以前のリリースでは最高時速240キロという数字もあったので、技術的にスピードを出すのは加納かもしれません。想定価格は30~50万ドルとされていますが、それよりも課題は法規制と社会の受け入れ体制で、同社もまずは日本で空飛ぶバイクが実際に走れるような仕組み作りから進めていくとコメントしています。

Hobersurfe社「HoverBike」

実際に機体を見たのはHobersurfe社の「HoverBike」で、今年1月開催のCESで実機が展示されていました。2タイプあって、すでにドバイ警察に導入が始まっている「S3 2019」はカーボンファイバー製のスリムなモノコックフレームボディで、アルミモデルと比べて半分という計量化を実現しています。

地上5メートルの高さを法定最高時速の96キロの速度で最長40分間飛ぶ(走れる?)ことができ、CES会場ではさすがに飛ぶデモは行われていませんでしたが、記者たちが実際に乗ってエンジンを動かすところまで体験できるようにしていました。

人間工学に基づいたデザインで快適な乗り心地を追求しているとのことですが、4つあるトリプルブレードのローターはむき出しのままでやや危なそう。そこは導入先が警察なので機動性を重視しているのかもしれません。ちなみにCESの会場ではカバー付きのローターを6つ搭載した最新モデルも展示されていましたが、デザインという点はイマイチでした。

つまり、ローターむき出しタイプはカラーリングやデザインのカスタマイズについても実は追求されていて、同社のサイトでは「Designed with You in Mind」というキャッチフレーズと共に、いろいろなプロトタイプモデルが紹介されています。スーパーマンのロゴがデコられたタイプもあり、実際に販売される前に映画のカーチェイスシーンで実際に飛ぶ姿を見ることになるかもしれません。

Lazareth社「LMV 496」

いろいろ搭乗している空飛ぶバイクの中でもこれぞというデザインで注目を集めているのが、フランスでカスタムマシンを製造するLazareth社が開発する「LMV 496」です。何といってもすごいのは、ただ走っているだけでもかなり迫力のあるバイクなのですが、なんと走行中に変形して空を飛ぶというのです。

デモ動画

といっても実際に公開されているのは、ライドモードからすでにフライトモードへ変形した後に、1メートルほどの高さを1分間ホバリングしているところだけなので、本当に変形するかどうかは不明ですが…。とはいえ少なくともツーウェイで地上と空を走る仕様になっているのはまちがいなさそうで、10月にドバイでさらに進化したモデルを発表する予定ということです。

Thrustcycle Enterprises社「GyroDrone」

もう一つ、ドローンバイクという呼び名に最も近いイメージなのがThrustcycle Enterprises社の「GyroDrone」でしょう。ここまで紹介した空飛ぶバイクとは反対に、スピードや走りの快適さというより都市と調和するモビリティとして安定した飛行性能が追求されているのが特徴です。

ハンドリングを含む全体のデザインがとにかくシンプルなのも安定性のためで、eVTOLとしてライダーに負担をかけずに安全に移動することを開発目標にしています。もともとは走行中も倒れないバイクとして開発されていて、同じような機能を持つバイクとしてはBMWがMotorrad Vision Next 100というコンセプトモデルを以前に発表しています。それよりははるかに安い価格で開発できるということで、そう遠くないうちにプロトタイプを目にする機会があるかもしれません。

いずれにしても新しい移動手段の一つとして、空飛ぶバイクの開発はドローンと同じく注目を集めそうです。

WRITER PROFILE

野々下裕子
フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos
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