[シュウ・コバヤシのDRONE MANIA]Vol.05 小型なドローン達

2019-12-27 掲載

トイドローンがやってきた

最初に飛ばしたドローンは何か?忘れもしませんし、まだ手元にあります。Walkera社製 QR Ladybirdです。

■QR Ladybird

いわゆるトイドローンというもので、ジャイロと加速度センサーのみしかなく、気圧センサーもコンパスセンサーもありません。もちろんビジョンポジション、GPSも無いので外で飛ばすのは厳しいですが、無風の状態だと意外に安定して飛ぶので、とても練習になるドローンでした。

その頃はまだドローンという名前も一般的ではなく、赤外線でコントロールするおもちゃのラジコンヘリというものしかありませんでした。その後続々とありとあらゆるトイドローンが発売されました。外国資本のおもちゃチェーン店や家電量販店などにも1万円ぐらいで買えるドローンが並びました。私もいろいろなもの買いましたが、これと言ってQR Ladybirdを超えるものが無いといった印象でした。だいたいトイドローンについてくるコントローラーがチャチで扱いにくいものが多いですね。

QR LadybirdはWalkera製のちゃんとしたコントローラーが使えたので、その影響も大きいです。機体が軽いのでぶつけて落としてもほとんど壊れませんでした。プロペラは何枚か消費しましたが。

TinyWhoopの登場

その後、Blade社から Inductrixというドローンが発売されます。

■Inductrix

写真のものはフレームとプロペラをカスタマイズしたものですが、ご覧の通りプロペラがダクト風のフレームに収まっているため、プロペラガードの代わりにもなり、障害物にぶつかってもプロペラが当たることがないため、とても安全で、なおかつ墜落することも減りました。

InductrixもQR Ladybirdと一緒でジャイロと加速度センサーのみしかないにも関わらずとても安定して飛ぶドローンです。また、Spektrum社製のDSMX/DSM2に対応しているため、ちゃんとしたコントローラーにも対応しています。

そしてこのInductrixに目をつけたのがBig WhoopというFPVレースチームに所属するJesse氏。モーターとバッテリーを強化し、超小型のカメラと映像送信機を載せることにより超小型のFPVドローンを完成させました。そしてそれをBig Whoopにあやかって、Tiny Whoopと名付けたのです。

そして、そのTiny Whoopは手軽でどこでもFPVが楽しめるとなって大流行しました。

Tiny Whoop用のモーターから、プロペラ、フレーム、フライトコントローラーなど色々なパーツが発売されており、色々組み換え可能になっています。私は子供の頃に遊んだタミヤのミニ四駆を思い出しました。 沼です。沼だけどパーツが安いのでお財布にも優しいのです。

すると今度はBlade社が最初からカメラと映像送信機も搭載されたInductrix FPVを発売しました。

■Inductrix FPV

はい。この機体も例に漏れずフレームやモーターをカスタマイズしています。 手頃な価格、カフェなどそんなに大きなスペースでなくても安全に飛ばせるとあって日本でもTiny Whoopが流行りだしました。

一応補足ですが、日本国内において、FPV(1人称視点)でTiny Whoopを飛ばすには映像送信に第四級アマチュア無線技士の資格が必要になり、映像送信機にも開局申請が必要です。

カメラと映像送信機がついていないInductrixのような機体を目視で飛ばす場合は特に何も必要ありません。

高性能なトイドローン

2017年、2018年頃から手放しでホバリングしてくれるトイドローンが発売され始めました。 まず代表的なのはParrot社のMamboです。

■Parrot Mambo

Parrot Mamboは下向きに位置を保持するカメラと高度を維持するセンサーがついたことからかなり安定して飛びます。 オプションでカメラやマジックハンドなども装着できます。

残念ながらParrot社は一般向けのドローンから撤退を発表したためMamboも在庫限りとなっています。 地方の家電量販店などで安売りされていることがたまにあるので、ゲットしてもいいかもしれません。

Mamboの代わりになるドローンと言ったらRyze Tech社のTelloだと思います。

■Ryze Tech Tello

TelloはDJI社が技術提供したビジョンセンサーを搭載しているため、安定して飛行できるうえ、カメラも標準装備なので、簡単な写真撮影や、動画撮影も可能です。 クライアントの事情で詳細はお話できないのですがTelloが出演するWEB用のCMを撮影したことがあります。撮られる側でしたがある意味、仕事をしたと言ってもいいかもしれませんね。

■Cine Whoop

Tiny Whoopでは操縦用の映像はありましたが、収録はできませんでした。映像送信機で飛んできた映像を収録してYoutubeなどでにアップしているものはありましたが、画質も悪く、ノイズ混じりもモノでした。それはそれで、狭いところに入っていったり、室内を飛び回っていたりと、おもしろいものではありました。

すると、Run Cam社やCaddx社というFPV用カメラのメーカーから、数十グラムでHD画質の映像を収録できるカメラが発売されました。 それをTiny Whoopを少しパワーアップした機体に載せ始める人々がチラホラとYoutubeに現れました。

日本国内でも「オンナノコズ」という映像が話題になりました。 リンクは載せません。だって悔しかったんですもの。うわー、こんなことできるんだ!とだいぶ感心しました。そして、こういった映像を自分が撮れなかったことが悔しかったからです。 これ以来、マイクロドローンという名でだいぶ浸透したと思います。新しい映像表現の一つだと思います。

ただ、カメラが機体に直付けされるので操縦にとても気を使います。また、常に構図を考えながら飛ばすので、まともな映像を撮るにはそれなりのセンスが必要とされます。 荒く操縦すると酔い易い映像になってしまします。

カテゴリー分けは中々難しいですがマイクロドローンは商品名でも存在していますので、HD画質以上で収録できる小型ドローンをCine Whoopと呼んでいます。 最近では4Kで収録できるものも出ており、画質もだんだん向上しています。今後も可能性のある分野だと思っています。 なお、業務で使う際はアマチュア無線は使えません。業務用の無線の資格、機材が必要です。

■番外編 KYOSHO DRONE RACER

これも200g以下なので小型ドローンとして紹介します。

撮影機能はまったくなく、ただ単にミニッツレーサーのように複数台でレースするためだけのドローンです。 2016年末に発売されて、2017年ぐらいまで色々とアップデートがあったのですが、ここ最近なんの音沙汰もありません。車のラジコンのようにホイール型のコントローラーで操縦できます。とても楽しい機体なのですが、今はそれどころではないのかもしれませんね。復活を期待しています。

■MAVIC MINI

DJI Mavic Miniは、最初に出てきたリーク情報ではMAVIC AIRの後継機としか思っていませんでした。そのため全く興味がなかったのです。ところが、250gをきるのでは?という情報も入っては来ましたが、どうせ海外対応のみで、日本の航空法には合わせてこないだろうなと思っていました。日本国内用に199g仕様で発売されると発表がありとても驚きました。とうとう斬り込んできたかと。

そして、Cine WhoopにOSMO POCKETをなんとか載っけて揺れのない映像を撮れる小型ドローンを製作しようと色々挑戦していたのですが、全ていらなくなりました。プロレベルの映像と画像が撮れるというほどでは無いのですが、ちょっと使う分には充分です。

また、注意しなくてはいけないのが航空法規制対象外と書かれていることが多いですが、空港周辺や高度150m以上は200g以上と同じ様に規制されますし、小型無人機等飛行禁止法や条例などは対象になりますのでどこでも何も考えずに飛ばせるわけでもないので注意が必要です。

MAVIC MINIは今までドローンに興味はあったけれども手を出せなかった人々が、どんどん参入してくる起爆剤になると思います。観光地や景勝地などあちこちで飛び出すのでしょう。その際、ドローンが飛ぶのが当たり前となるのか、問題視され、更なる規制対象となるのか、今後の動向がとても気になります。

WRITER PROFILE

シュウ・コバヤシ
「雑機屋」ドローンの専門家。車好き、機械好きが縁で車をメインとするCG制作会社に入社後、2012年アマナの空撮部門airvision事業発足と同時に参加。操作だけでなく、機体の開発、改良などメカニックも担当。映画「魔女の宅急便」では国内で事例がほとんどない中、RED社のEPICを搭載して250回以上の全フライトを担当。2016年 NHK大河ドラマ「真田丸」タイトルバック、自動車会社、鉄道会社などのCMにも多く関わる。2020年4月よりアマナグループを退職後「雑機屋」を立ち上げる。

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