[Drone Design]Vol.13 空飛ぶホテルで見る夢は…

2020-03-25 掲載
行きたいところへ飛んでいけるドローンホテル“Driftscape”のアイデアはデザインコンテストで大賞に

決して未来ではない将来「ドローンホテル」が出現する?

世界中で猛威を振るう新型コロナウィルスの影響で、予定していた海外取材が次々とキャンセルになってしまい、飛行機ロスな状態が続いているわけですが、こういう時だからこそ余計にどこか遠くへ飛んでいきたくなるもの。空港までたどりついてもその後はホテルで2週間隔離というのであれば、ホテルごとどこかへ行ければいいのでは?なんていう妄想をしつつネットを検索してみたらば、やはりというかもうすでに「ドローンホテル」のアイデアは存在しておりました。

Driftscape(漂流する風景)

最初に見つけたのは、世界24カ所にオフィスを持つグローバル・デザインカンパニーの「HOK」が提案する、ドローンのテクノロジーを利用した自律性のあるホスピタリティ空間を提供するDriftscape(漂流する風景)というアイデアです。快適な空間の中にいながら様々な場所へ移動し、従来のホテルでは実現できなかった雄大な風景や空間を提供するというもので、旅行やホスピタリティに関する魅力的なアイデアを表彰するRadical Innovation Awardsの大賞にも選ばれています。

客室ユニット“Driftcraft”は360度周囲が見渡せる

基本となる客室は周囲の風景を360度見渡せる半透明の壁に覆われたユニットになっていて、“Driftcraft”(漂流船)と名付けられています。上から見るとずんぐりとした長細い卵のような、Appleが最初にデザインしたマルチボタンマウスのような形をしていて、洗面所やトイレ、シャワールームが一体化しています。さらに“Oasis”と呼ばれるレストランやバーなどのサービスが提供できるコミュニティ・ユニットとドッキングすることができ、そこでホテルとしてのホスピタリティを高めることができます。

客室とレストランはそれぞれ別々のユニットで構成されている

それぞれのユニットは自律飛行で移動する機能もさることながら耐久性にも優れていて、砂漠や水上などいろいろな場所で過ごすことができるとのこと。移動が目的ではなく目的地にたどり着いたあとにいかに快適に過ごすかが重視されるのではれば、技術的にはそれほど難しくなく実現できるような気がします。

ロンドンから上海まで90時間かけてゆったり遊覧

次に見つけたのはまさしく空を飛ぶホテルというアイデアで、ロンドンを拠点とするデザインスタジオのSeymourpowellが提案しています。縦に長い四角錐を上下にはりあわせたような不思議な形をしたドローンホテルは、ロンドンから上海まで90時間かけてゆったりと快適な移動をするのが目的で、飛行機のファーストクラスとクルーズ客船の中間のような移動空間をイメージしてデザインされています。

客室はペントハウス、2階建ての広々したパートが4つ、シングルは5つだけにして、高級ホテルの快適性を最大限に活かしたデザインを取り入れています。レストランやジャグジーのほかに外の景色が見渡せるガラス張りのバーラウンジが設計されていて、時速100~150kmで目的地へゆっくりと移動を楽しむことができます。

飛行機能は水素燃料電池を使用して1.2万フィート(約3.7km)の高度まで飛ぶことができ、ホテルのサービスに使用する電力はすべてソーラパネルによって作られています。騒音も無くクリーンな飛行ができるのが特徴で、将来的には時間がかかってもこうした移動に対価が支払われるという時代の流れにあわせてデザインしたとのこと。ドッキングするステーションのデザインもなかなかユニークで、コンセプトを気に入ったサムスン財団がスポンサーになってイメージアニメーションも作成されたということです。

空を飛ぶホテルはあえてゆったりと移動するようにデザインされている

NHKの番組に奇想天外なホテルを紹介する「異世界ホテル旅」というのがあるのですが、そのうちドローンホテルも紹介される時代がやってくるのかもしれませんね。

WRITER PROFILE

野々下裕子
フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos
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