[シュウ・コバヤシのDRONE MANIA]Vol.12 ドローン大型機用のハコ〜運搬について考える

2020-07-21 掲載

ドローンの運び方

ドローンをどうやって運ぶか。今は機体が小型化し、折り畳めるものがほとんどですので、そんなに悩む必要はないかもしれません。初期の頃は大きな機体ばかりで、折りたたむことができなかったため、どこへ行くにもワイドでハイルーフなハイエースに積み込んで、自走して現場に向かっていました。

これはシネマカメラやレンズまでMAXに積み込んだ状況ですので、普段はもう少しマシでしたが、だいたい大荷物を満載し、北海道から九州までフェリーを使い、かなりの移動時間をかけ移動していました。

前後に移動時間を1日以上必要としてしまうこともあるので、コストも掛かり非効率的でした。さらに、流石に沖縄までフェリーで行くわけには行きません。そこで、航空機のカーゴ便を使う方法を模索しました。 それには折りたたみのできない大型ドローンを運ぶ方法を考えなければいけませんでした。

大型機専用運搬箱

大型機が入るハコ。1辺が1.3mほどで厚さが50cmのハコ。ホームセンターでは売っていませんでした。色々探して、運搬用の木箱を作っている会社なども検討しましたが、とても重く、運搬も大変なので作ることにしました。

外枠はパイプを使って棚を作る「イレクター」という製品を利用し、薄い合板で周りを囲む作りになっています。アルミのパイプにしたので、中に予備機含めて2機入れてもさほど重くなく、2人いれば軽く持ち上がります。キャスターも付いているので移動も楽です。外形を1.3mに抑えたのでハイエースなどの大型ワゴン内に入るギリギリのサイズになっています。他の照明や撮影機材とも混載でドラック運送も可能になりました。

航空機のカーゴコンテナにも余裕を持って収まります。早めに空港に行って荷物を預ける必要はありますが、車で自走してフェリーに乗るよりも時間もコストも削減できて、なおかつ身体的にも楽になりました。

余談ですが、このハコをとある制作会社に預けて、他の機材と混載で運んでもらった際にこんな紙がくっついていました。「中で羽を休めております」という表現が機材に愛を感じます。なんか良かったので思わず写真に収めていました。

機体以外のハコ

カーゴ便で運ぶことに慣れてしまうと、スペースに余裕があることがわかってきます。機体の下部につけるジンバルを最初の頃は分解して、汎用のペリカンケースなどに収めていたのですが、分解組み立てが面倒になり、専用のハコを作りました。

3つ箱があるのですが、上のハコは機体1機用の箱です。離島に行く飛行機はカーゴスペースが狭いため先程のパイプフレームのハコが入らず、急遽最小のものを作りました。

下の2つはジンバルがそのまま入り、なおかつ付属品まで収納できるようにスペースを確保しました。準備撤収がとても早く楽になりました。このハコ3つはほぼ1日で作り上げる突貫工事であったため、みてくれは悪いです。後ほど色を塗るか、蓋がイタっペラなのでバージョンアップしようと思ったまま現在に至ります。

最近のドローンのハコ

今は大型機の出番はほとんどありません。機材車もハイエースよりコンパクトな車に変えてしまったほどです。

ではInspire 2などの中型機はどんなハコかといいますと、買ったときに入っていた純正ケースです。色々検討した結果これに落ち着きました。最初はすぐ壊れるかと思ったのですが、意外と丈夫です。

発布スチロール素材のため軽く、バッテリーを入れなければ片手でぶら下げて移動できますし、東海道新幹線ならば網棚に載せられます。欠点はカメラを外し、機体をトラベルモードにしなければいけないことです。だからこそコンパクトなのではあります。

カメラも外さず、ランディングモードのまま収納できるケースもあります。しかし、あまり使っていません。レンタカーで移動してさっと撮影したい場合や、船に乗ったり、雨が降ってきそうなときは防水ですので重宝します。しかし、デメリットが色々あります。

  • 大きい
  • 重い
  • 決まったものしか入らない
  • 値段が高い

これらの理由であまり使っていません。もともとiPadが入るようになっていた部分を躊躇なくカッターで切り裂き、CrystalSkyモニターをねじ込んでいます。後にCrystalSkyが入るモデルも出ました。このように汎用性が低いです。

極めつけは、一人でこのケースを引っ張って上越新幹線に乗った際に、2階建て車両しかなく、あの狭い階段を運び在来線に乗り換えたところ、到着駅に階段しかなく、捨てて帰ろうかと思いました。

単なる選択ミスなので、必要に応じて使い分ければ問題はないと思います。車移動がメインの場合は荷室の大きさ次第では便利です。ただし、積み下ろしの際、腰にお気をつけください。中身がなくても10kgほどの重さがあります。

おまけ

初めての機体を組み立て済みで海外から買ったらこんなケースに入って送られてきました。現在はガラクタ入れになっています。要人をベイルートまで脱出させることが可能なほどスペースがあります。使いみちはないのですが、ミリタリーケースですので、ちょっとかっこよくて捨てられません。

おまけ2

現在の主力大型機Matrice 600の運搬用のハコはこれです。とうとうダンボールです。これも購入時のものですが、内部の発泡スチロールに耐久性が有り、うまく切り抜くとジンバルのRonin-MXも収納可能なのです。せめて外見だけでもプラスチックダンボールにしようかと思ったのですが、思っただけでした。

このように最近はハコを作っていませんが次回は小型機のハコをご紹介します。久々にハコを作ることになりそうです。

WRITER PROFILE

シュウ・コバヤシ
「雑機屋」ドローンの専門家。車好き、機械好きが縁で車をメインとするCG制作会社に入社後、2012年アマナの空撮部門airvision事業発足と同時に参加。操作だけでなく、機体の開発、改良などメカニックも担当。映画「魔女の宅急便」では国内で事例がほとんどない中、RED社のEPICを搭載して250回以上の全フライトを担当。2016年 NHK大河ドラマ「真田丸」タイトルバック、自動車会社、鉄道会社などのCMにも多く関わる。2020年4月よりアマナグループを退職後「雑機屋」を立ち上げる。

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