[Drone Design]Vol.20 スマートホーム・キットへと進化するドローンのデザインはどう変わる?

2020-10-27 掲載

ただ空を飛ばすだけが目的のオモチャからどんどん進化しているドローンたち。もっといろんなシーンでドローンを活用しようと、これまでいろいろユニークなアイデアが提案されていました。そうした中でこれからの活躍がひそかに期待されているのが、スマートホームのキットとして開発されたドローンたちの登場です。

Ring「Ring Always Home Cam」

Ring Always Home Cam

最近話題になっているのが、AmazonのホームセキュリティビジネスのブランドであるRingが開発した「Ring Always Home Cam」です。Amazonが9月にオンラインで開催したハードウェア紹介イベントで発表されたセキュリティカメラは、高解像度カメラを搭載した小型軽量ドローンで、ドッキングステーションとあわせてテーブルの上にちょこんと乗るほどコンパクトに設計されています。

Ringが発売しているホームセキュリティシステムのRing Alarmやインドアカムの機能を拡張させるために開発され、動きがあるものを検知すると自動でその場へ飛んでいって、撮影した動画をスマホアプリへと送信してくれます。とはいえ開発はそう簡単ではなく製品化には苦労もあったようです。

デザインには、ずいぶん苦労したようです。プロペラをケースで囲ったり、衝突回避機能を搭載するのはもちろん、ドッキングステーションで待機中はカメラを作動させず、逆に動作中はハミングするような音を出して撮影中であることを知らせる”プライバシー・ファースト”なデザインであることを強調しています。カメラの位置がドッキングステーションの中にすっぽり隠れるよう、プロペラの下にデザインされているのもそのためだと思われます。

性能を紹介する短い動画では、不法侵入者がドアを開けるのをRing Alarmが検知するやいなやドローンが飛んでいって、その姿を撮影するという基本的な使い方が紹介されていましたが、他にも定期的に室内を監視したり、ペットの様子をチェックしたり、外出先から照明やストーブなどの家電を切り忘れていないかチェックする、といったスマートな使い方ができるようです。

販売価格は250ドルが予定されていますが現在は販売承認のための審査中とのことで、サイトでは販売開始の通知登録のみ受け付けています。

Ring Always Home Cam

Indiegogo「Hawkeye」

Hawkeye

ホームセキュリティにドローンを活用するというアイデアは以前からあって、2016年にはクラウドファンディングのIndiegogoで「Hawkeye」という家の警備に特化したドローンが提案されています。“世界初の完全自律型屋内ドローン警備員”というふれこみの機体は、クワッドローターの小型ドローンで、本体に目のような2つのカメラが付いていて、タコの口のように飛び出したライトで相手を威嚇するこができます。

なんともユニークなデザインで、ドローン単体でも人気を集めそうですがゴールの金額に半分も届かず、プロジェクトもクローズしています。

Hawkeye

atarania「Flying Magic Cleaner」

Flying Magic Cleaner

スマートホームなドローンの活用方法として以前から提案されているのが空気清浄機です。部屋の中を飛び回るドローンがエアダストや花粉をホコリを集めてくれるというアイデアは、ヨーロッパでもPM2.5が問題になった4~5年前からよく見かけ、CESでもいくつかプロトタイプが発表されていました。

その一つがataraniaが開発していた「Flying Magic Cleaner」で、ドローンが飛ぶ時に空気が巻き込まれるのを利用して、ローターを囲むように取り付けられたフィルタで細かいチリを吸着するという仕組みになっています。

今のところ空気清浄機タイプのドローンというのは市場では見かけませんが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響で再び注目されるようになり、新製品が登場するかもしれません。定期的に室内を飛び回るという機能をホームセキュリティと組み合わせれば、機能的にも話題になりそうなので、再度開発が行われるのを期待したいところです。

空気清浄機能を持つFlying Magic Cleanerのプロトタイプを日本企業が出展 [CES2018]

「VacHumme」

@Tom Harding with his invention VacHumme

そして、すでにルンバなどで確立されている自動掃除機のジャンルへ、新たにスマートホームな空を飛ぶ掃除機が加わるかもしれません。イギリスのブライトン大学でプロダクトデザインを専攻するTom Hardingさんは、ハチドリのように空中をホバリングしながらストローのようなくちばしでホコリを吸い込んでくれるマシン「VacHumme」を大学のデザインショーケースで発表し、注目を集めました。特に注目されたのは掃除する場所を決めるAIマッピング機能で、家具を移動しても再計算して適切に掃除ができるというところです。

発表した2018年には夢物語のようなアイデアだったかもしれませんが、ドローンの機能も室内をセンシングするライダーなどの機能も低価格で高機能化が進んでいるので、実現可能に近付いているかもしれません。デザインのための募集テーマは「30歳以上の一人暮らしの生活を助ける製品を設計すること」だったそうですが、それよりはるかに幅広い世代にウケそうです。

ブライトン大学の紹介記事

まとめ

スマートホーム関連のデバイスは家電量販店で普通に販売されるようになり、デザインも機能もだいぶ使いやすそうなものが増えてきました。あのAppleでさえHome Pod miniを発売するまでけっこうな年数がかかったので、ドローンもあと数年すればスマートホームとして優れたデザインと機能の製品が登場するかもしれませんね。

WRITER PROFILE

野々下裕子
フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos
[Writer:野々下裕子]
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