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Vol.24 3Dプリンター その3[シュウ・コバヤシのDRONE MANIA]

Vol.24 3Dプリンター その3[シュウ・コバヤシのDRONE MANIA]

おおよそ2年

このドローンマニアを書き始めて、早くも2年が経ちました。その記念すべきVol.1Vol.2では、3Dプリンターについて書いておりました。当時はまだ会社員としてドローンに携わっており、マイクロドローンを制作していたり、企業の実証実験なども行っていたため、3Dプリンターをそこそこ利用していました。

現在ではフリーランスになり、2020年の独立したての頃は新型コロナウィルスの影響もあり、投資をする余裕もなかったため、なかなか新しいことに手を出せず、なんとか食いつないでいく状態でした。

現在は若干安定してきたため、少し余裕が出てきました。そこで、新しい3Dプリンターを購入したこともあり、今まで使ってきた3Dプリンターと合わせて紹介していきたいと思います。

はじめての3Dプリンター

私が初めて手に入れた3Dプリンターは、XYZ社製のダヴィンチJr.というものでした。

3Dプリンター

この写真はXYZ社のWEBページにあった後継機のものです。ほぼ見た目は変わっておらず、色がちょっと違うだけですね。機能も無線LAN対応や、2色のフィラメントが使えたり、他にも姉妹機では社外のフィラメントも使えるようになっていたりと、アップデートがなされています。

Amazonのセールで、何を間違ったのか6000円ほどで売られていました。この機種は入門としては丁度よくて、何の設定にも悩まず使うことができました。理由としては、プリントするときに必要な材料のフィラメントが専用品で、フィラメントに対する設定がばっちり決まっていて、調整する必要が全くなかったからです。

ただ、そのフィラメントに電子基板とチップが付いてきて、そのチップを認識しないとプリントできない仕組みでした。フィラメントが詰まってしまい、空回りして出力がされてしまうと、チップには正常に消費したように記録されてしまい、実際には余りがあるのにフィラメントの残りがないものとしてプリントできなくなるなどの不満点がありました。あと、すこしフィラメントが割高でしたね。

専用のフィラメント、しかもPLAという素材しか使えないというデメリットはありましたが、手軽に使えて、なおかつコンパクトでしたので、相当使い倒したプリンターになります。

仕事用としてのプリンター

会社員時代、3Dプリンターの重要性をさんざんプレゼンしましたが、中々購入に至らず、ずっと私物のプリンターを利用していました。さすがに利用頻度も多く、自宅でしか作業できなかったので、むりやり稟議書を書き、購入に至ることができました。その際、稟議書に私物の3Dプリンターの使用について記入していたら、「業務での私物の利用は禁止です」といわれ、なんだかなぁと思ったものです。

この購入の際のポイントは、精度が高いこと、業務利用なのでトラブルや修理対応のよいことでした。最終的に候補は2つに絞り久宝金属製作所のQholia(クホリア)とZortrax社のM200 Plusです。どちらも積層方式のプリンターなのにとても緻密な印刷ができ、フィギュアなどの出力に耐えられる精度をもっています。最終的に日本の会社である久宝金属製作所のQholiaに決めました。

決め手はやはりサポートです。質問を投げればすぐにかえってきますし、部品単位ですぐに入手可能という国内の利点がありました。どちらを買っていても特に問題はなかったでしょう。値段もどちらも30万ほどします。やはり、国内のものを使いたいですよね。

あと、久宝金属製作所は棚受けなどの金属加工をしている会社です。そこにひかれたというのも事実です。以前は積層方式のプリンターではフィギュアなどの造形はそこまで正確に印刷できるとは思われていませんでした。

それを可能としたのは、機械部分の正確な稼働と、筐体の剛性にあると思います。プリントするための素材を溶かしてひねり出すエクストルーダーを含むヘッド部分が前後左右にガシガシ動きます。これが正確に動かないと正確な造形はできません。

また、そのヘッドの動きに耐えられる筐体、これらがしっかりしたプリンターが出始めました。そこで、金属加工を得意としている会社が作るプリンターを導入するというのも理にかなっていると思っています。

現在は退職してしまったのですが、まだまだ現役の性能があるので、誰かが活用してくれているといいのですが。

はじめての光学造形式プリンター

3Dプリンター

ちょっと変わり種として光学造形式のプリンターも購入しました。方式の違いについてはVol.2をご覧ください。ちょうど2年前、ドローンマニアを書き始めたころに購入したAnycubic社のPhotonという機種です。

当時は光学造形式は10万円ぐらいしていたのですが、これもAmazonのセールで5万円ぐらいででてきました。前々から興味があったので早々に購入したわけです。ちなみに、現在は3万円以下で購入できますし、5万円台でも色々な光学造形式のプリンターがあります。よい時代になりましたよね。

光学造形方式はフィラメント状の樹脂を溶かして積層する方式に比べて、より詳細な造形が可能です。明らかな差があります。 積層式では実現しにくい透明の造形も、クリアレジンを使用してサンディングやクリアコートを施すことで造形が可能です。

運用時の問題点もあります。光学造形式は紫外線で固まるレジンを利用します。最近はアクセサリーを作る手芸でも使われますね。そのため素材はレジンのみです。光にあてると固まってしまいますし、造形後、イソプロピルアルコールで洗浄する必要があります。

また、紫外線ライトで2次硬化をさせてやる必要がある場合もあります。水洗いができるレジンもありますが、洗わなければいけないことには変わりません。バットに残ったレジンを元に戻したり、プリンターパーツも洗浄してあげる必要があります。これが非常に面倒です。人によってはアルコールやレジンが肌につくとかぶれてしまうこともあります。

洗わないとどうなるかというと、光が当たると硬化してしまいます。そうなると、もう、ほんとうに、面倒くさいことになります。

3Dプリンター

私が購入したAnycubic Photonは筐体のアクリルの透明板が紫外線を微量に通してしまうとのことで、周りを覆うカバーを作りました。

色々と面倒なプリンターなので、私は光学造形式のプリンターを使う場合は、ある程度まとめて一気に出力しています。最近めっきり使っていません。いや、今まとめている最中なのです。

もう一つ、寝室にはおけません。独特の匂いがするからです。ずっと嗅いでいると、ちょっときつい匂いです。ちなみに積層方式のPLAはクッキーというか、チョコというかいいにおいがします。体にはよくないと思いますが。

このように色々な3Dプリンターを利用しています。次回は買ったばかりの新型と、これからの計画について書きたいと思います。

Writer : シュウ・コバヤシ

「雑機屋」ドローンの専門家。車好き、機械好きが縁で車をメインとするCG制作会社に入社後、2012年アマナの空撮部門airvision事業発足と同時に参加。操作だけでなく、機体の開発、改良などメカニックも担当。映画「魔女の宅急便」では国内で事例がほとんどない中、RED社のEPICを搭載して250回以上の全フライトを担当。2016年 NHK大河ドラマ「真田丸」タイトルバック、自動車会社、鉄道会社などのCMにも多く関わる。2020年4月よりアマナグループを退職後「雑機屋」を立ち上げる。

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