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コラム小林啓倫

コウモリの翼で進化するドローンの飛行[小林啓倫のドローン最前線] Vol.87

EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の研究チームが、コウモリの柔軟翼の空力ポテンシャルを解明してドローン設計に応用した研究を解説

2025年3月12日
KK
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Contents
コウモリを参考としたバイオミメティクス実験結果

コウモリを参考としたバイオミメティクス

生物の体の構造や動きのメカニズムなど、自然界に存在するものを参考にして新しい技術を生み出すことを、バイオミメティクス(biomimetics)あるいはバイオミミクリー(biomimicry)と呼び、これまでこの連載でも何度かその例を紹介してきた。

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今回もその最新の事例を取り上げてみたいのだが、模倣されたのは、ずばり「コウモリ」である。

コウモリは独特の柔軟な膜状の翼を持ち、羽ばたきによって効率的にホバリング飛行できることで知られている。この柔軟な翼による飛行メカニズムは古くから謎とされ、昆虫の飛行との対比で注目されてきた。

昆虫は高速で羽ばたく際に「前縁渦(リーディングエッジ・ボルテックス)」と呼ばれる渦を翼の前縁付近に発生させて揚力を高めていることが知られている。一方でコウモリの翼は、薄い皮膜が指や腕の骨に張り巡らされた構造で、飛行中に大きく変形するようになっている。

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これが効率的な飛行を可能にするのだが、どのくらい省エネかというと、同サイズのガに比べてエネルギー消費が約40%も少ない種もいることが報告されている。

​この事実から、コウモリの柔軟な翼とその飛行メカニズムを、人工の飛行体の設計に応用することが研究されてきた。そして今回、EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の研究チームが、この柔軟翼の空力ポテンシャルを解明してドローン設計に応用したというわけである。

彼らは「翼を柔軟にすれば空力性能が向上する」という仮説のもと、コウモリの飛行原理を模倣することでドローンのホバリング効率を高める取り組みを進めた。そしてコウモリの膜翼構造を模した柔軟な人工翼を設計・開発し、その空力特性を実験した。

発表された研究論文によると、翼はシリコーン系ポリマー製の変形可能な膜(マイクロメートル厚程度の薄膜)で作られ、それがフレームに取り付けられた。このフレームは前縁と後縁部分に軸回りに回転できる機構を備えており、翼全体が羽ばたく際に自律的に適度な曲率を形成できるよう工夫されている。

これにより、翼の前縁角および後縁角が状況に応じて変化し、膜翼が受ける空気力に応じて受動的にたわむ仕組みが実現されたという。

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実験結果

コウモリを模倣して開発された翼(動画はこちらのページから再生可能)

この翼を用いてホバリング時の羽ばたき運動を再現するため、研究チームは特殊な水槽実験装置を構築した。水にポリスチレン粒子などの微小な粒子を混合し、その中で翼を羽ばたかせることで、翼まわりの流れを可視化したのである。

実験の結果、柔軟翼は、剛翼(硬い翼)よりも高い揚力と効率を発揮できることが明らかになった。特に膜翼の柔軟性を最適な範囲に調整した場合、揚力係数が同サイズの剛翼を上回り、エネルギー効率(単位揚力あたりの消費エネルギー)も向上したという。

興味深いことに、昆虫の羽ばたきで見られるような明瞭な前縁渦は発生せず、代わりに空気の流れは、翼表面の滑らかな曲面に沿って分離せずについていく形となったそうだ。この流れが結果として、前縁渦がある場合と同等以上の揚力を生み出すことが確認された(ただ、この効果が得られるのは翼に適度な剛性が残っている場合に限られたという)。

これらの成果は学術的にも工学的にも大きな意義を持つ。まず生物学・航空力学の観点では、コウモリの高度なホバリング飛行能力の一端を解明したことになる。小型のコウモリがなぜあれほど効率よく飛行できるのか、その理由の一つとして翼の柔軟性による効果が示唆されたわけだ。

一方、工学的には、この知見を活かしてより効率的なドローンを設計できる可能性が開かれた。特に、羽ばたき型の小型ドローン設計において、剛体翼ではなく適度に変形可能な膜翼を導入することで、ホバリング時の揚力効率を飛躍的に高められることが示されたのである。

​本研究で示されたコウモリ型柔軟翼の利点は、今後のドローン開発において様々な形で応用できると期待されている。

直接的には、現行のクアッドコプターなどでは対応が難しい超小型ドローンへの適用が考えられる。従来型ドローンが極小サイズになった場合に直面する安定性・効率の問題​に対し、羽ばたき式の柔軟翼ドローンであれば空力的に有利なホバリングが可能となり、ペイロードを維持しつつ機体を小型化できる可能性があると指摘されている。

たとえば室内や林床、都市の狭い路地など、GPSが使えず風も複雑な環境下で、小型の柔軟翼ドローンは安定した飛行プラットフォームとして活躍できるだろう。

将来的な応用としては、災害救助現場での捜索(倒壊建物の隙間に入り込んで被災者を捜索)、環境モニタリング(洞窟や森林内部の生態調査)、さらには軍事偵察(敵地の洞窟や建物内部への潜入監視)など、従来機では難しかった場面が想定される。

コウモリは、哺乳類の中では非常に広く分布している例外的な存在で、南極大陸を除くほぼ全世界に生息している。コウモリに学んだドローンも、非常に幅広い分野に導入されるようになるかもしれない。

EPFL、コウモリ翼からヒントを得てホバリング効率を40%向上。ドローン設計への応用も

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TAGGED: EPFL, ドローン, 小林啓倫のドローン最前線
kawai 2025年3月12日
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