4月13日にいよいよ始まった2025年日本国際博覧会こと大阪・関西万博は、大阪市此花区にある人工島の夢洲で10月13日まで半年間開催されます。メインテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」とあわせて、コンセプトに「未来社会の実験場」を掲げており、会期中は空飛ぶクルマをはじめさまざまなモビリティの試乗や実証実験が行われています。
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巨大な会場は、最寄りにあるUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の約3倍もの広さがあり、史上初めての海に面した立地となっています。西ゲートの海側、北西部に位置するフューチャーライフゾーンの一番奥にある「モビリティエクスペリエンス」には、空飛ぶクルマの離発着場「EXPO Vertiport」があり、会期中は運航事業者に選ばれた3陣営によるデモフライトが複数回行われます。

最初にデモフライトを行ったのはSkyDrive社とOsaka Metroによる陣営で、会期前の4月9日に開催されたメディアデーに実施されました。3人乗り機「SkyDrive式SD-05型」を無人で自動制御とリモートコントロールにより、約5メートルの高度を約4分間、前後左右の水平移動や旋回も含めた飛行に成功しました。

続いて会期後は、丸紅陣営がLIFT AIRCRAFT社の1人乗り機「HEXA」の有人飛行によるデモフライトを実施。2023年3月にも大阪城でも試験飛行を公開していますが、今回は週末を中心に一般にも公開されます。しかし、4月26日のフライトで、18個あるプロペラ・モーターのうちの1個と機体フレーム1本が破損し、アーム部分のモーターカバー2つがポート内に落下したため、現在は残念ながら公開を見合わせています。
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関連記事:空飛ぶクルマLIFTの1人乗りeVTOLが有人飛行に成功。スムーズな飛行を披露 – DRONE
何かと制約がキツメのデモフライトですが、丸紅はもう一つ別の機体、Vertical Aerospace社の5人乗り機「VA1-100(VX4)」で、会場と尼崎フェニックス(兵庫県尼崎市)に建設された「尼崎フェニックスバーティポート」の2地点間飛行を予定しており、10月の実施に向けて調整を進めています。
また、2地点間飛行は、SkyDrive社が会場の向かいにある大阪港の中央突堤に建設された「大阪港バーティポート」の間で、夏頃に実施することを予定しており、さらに万博会場周辺での周回飛行も計画しています。

そして、会場周辺での周回飛行はもう1社、ANAホールディングスがJoby Aviation社の5人乗り機「Joby S4」で、9月下旬から閉会式までに行うことを予定しています。デモフライトで使用される機体やバーティポートの情報は、会場内のエンパワーリングゾーン・エリアにあるミニパビリオン「空飛ぶクルマ ステーション」で公開されていて、SkyDrive社「SkyDrive式SD-05型」のフルスケールモックアップは予約すれば実際に搭乗して記念撮影もできます。

当初、デモフライトの実施は4陣営が名乗りを上げていましたが、日本航空(JAL)と住友商事が運営するSoracle社は機体の調整が間に合わず、会期後にあらためて行われることが予定されています。その代わりではありませんが、同社は没入体験ができるイマーシブシアター「SoraCruise(そらクルーズ)」をパビリオン内に公開しています。
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ディスプレイに囲まれたシアター内では、ソニーPCLが提供するイマーシブソリューションによる、迫力ある映像に音と振動を組み合わせたコンテンツが上映され、まるで空飛ぶクルマに乗っているような気分を味わうことができます。入場前に並んでいる間も飽きない工夫があり、空飛ぶクルマを身近に感じることができます。


大阪・関西万博ではその他にも、あちこちのパビリオンで空飛ぶクルマやドローンを活用した未来の技術やアイデアが見らます。たとえば、いのちをテーマに最先端の医療技術や話題の「iPS心臓」と「心筋シート」を展示しているパソナパビリオンでは、山間部や離島等の僻地等でも最先端の治療が受けられる「空飛ぶ手術室」を展示。搬送ではなく、移動しながら治療が行えるようになるというところが、なかなか万博らしい未来の提案だといえます。

また、バーティポートに近い「フューチャーライフヴィレッジ」では、線路点検ドローン「Project SPARROW」が紹介されていました。このエリアは数日間という短い期間で展示が入れ替わるので、運が良ければ他にもドローンに関する新技術が見られるかもしれません。

そしてなんといってもお楽しみなのが、会期中毎晩開催されるドローンショーです。レッドクリフによる10分弱のショーは午後8時57分からスタートし、大屋根リングのはるか上で1000機のドローンによる美しい演出を会場のあちこちから見ることができます。

開会式では約2500機を使用し、花火も組み合わせた特別演出が行われ、空に描かれた「ドローンによる最大の木の空中ディスプレイ」でギネス世界記録を更新。また、年間で飛行したドローンの最多数でもギネスに挑戦しています。
まだまだ実物を見る機会が少ない空飛ぶクルマやドローンショーですが、この機会にたくさんの人たちに体験してもらい、次の新しいドローンをデザインするきっかけになってほしいものです。