神戸市、ドローンの混載配送サービス実用化に向けた六甲山での実証実験に成功

2020-08-11 掲載

ドローンを宅配に活用しようという動きは全世界で進んでいるが、新型コロナウイルスの感染拡大以降は、自治体を中心に実用化を進める動きがある。神戸市も自治体としては早くからドローンの活用に取り組んでおり、2020年8月6日に六甲山でドローン配送の実用化に向けた実証実験が行われた。

これまでの実験との違いは、複数の商品を混載して届けるところにある。ドローン配送は、陸路では時間がかかる場所へ空路で早く商品を届けられるのがメリットとされている。一方で、配送量が少ないためコストがかかり、医薬品の緊急輸送や災害救助支援といった、限られた用途でしか採算が取れないと言われている。そこで今回は通常の宅配便のように複数の異なる種類の荷物を混載し、それぞれの品質を損なうことなく届けられるかを検証した。

実証実験用に使用したドローンはSkyDriveの「CargoDrone」がベースになっている

搬送したのは、医薬品、コンビニ販売商品、封筒に入った書類で、要冷蔵のプリンとお寿司を温度管理できる状態でドローンに積み込んだ。全体の取りまとめは、空の利用権をシェアする「sora:share」サービスを創出する株式会社トルビズオンが担当し、運送ノウハウでセイノーホールディングス株式会社、医薬品は成ワ薬品株式会社、食品は神戸阪急がそれぞれが協力し、さらに六甲山上に住む地域住民が荷物の依頼主として実験に参加し、配送状態を確認した。

実験にはドローンの運用だけでなく宅配ノウハウや商品の提供で様々な企業が参加した 山上まで1km以上の距離を安定して荷物を運ぶためペイロードは軽量化されている

ドローンは株式会社SkyDriveが自社で開発している重量運搬ドローン「Cargo Drone」をベースにアレンジした。2重ローターのクワッド式ドローンで、最大積載量30kgのペイロードを備えているが、実験では六甲山の麓から山上まで200m以上高度差がある1km以上の距離を移動するため軽量化し、10kgまで荷物を運搬できるような形状にした。ペイロード内は敷居などを設けず、庫内の温度調整も普通の保冷剤を機器で温度管理できるものを使用し、荷物と一緒に積み込めるようにしていた。

温度管理用の保冷剤が荷物と一緒に積み込まれていた

飛行ルートはあらかじめ指定したルートを往復するよう設定されている。飛行中はGPSを使うが、ドローンに搭載したソフトバンクのLTEスマホでルートを確認できるようにした。基本的に自律飛行だが手動でコントロールできる状態にしており、一部で目視外飛行を行っている。航空規制があるため、離発着地点から半径30m以内の立ち入りを制限し、道路の通行止めも行われた。万が一のため、トルビズオンと損害保険ジャパン日本興亜が開発した独自保険”sora:share 保険”も適用している。

飛行ルートはGPSとソフトバンクのスマホで確認している

実験は麓で集荷された荷物をドローン積み込み、山上の目的地に届けたあと、その場で荷物を取り出して依頼主に届けるという流れで行われた。積み込みから手渡しまでの時間は10分程度で、飛行時間だけ見れば5分ほどであった。天候は薄曇りで風も無くおだやかだったこともあり、飛行は安定していて荷物を無事に運べたことが確認できた。

山上で待っている依頼主に手渡しで荷物を届けるまでを検証した

ドローンで複数の荷物を運ぶ可能性は見えたが、実用化に向けてはまだ多くの課題があることは、プロジェクトの参加者もよくわかっている。中でも天候は大きな壁で、今回の実験も悪天候で2度開催が延期されている。ただし、ビジネスモデルが確立されて解決すべき課題が明確になれば解決は可能で、ニーズにあわせた機体の開発も進められる。

神戸市は六甲山上をビジネス拠点として活用する「六甲山上スマートシティ構想」を今年5月に発表しており、山間部でのドローン宅配の実験などが行えるよう協力していきたいとしている。トルビズオン代表取締役社長の増本衛氏は「規制や技術の変化などに対応しながら、きちんとマネタイズできるドローン宅配の先進ビジネスモデルの確立を目指す」とコメントしている。

株式会社SkyDrive

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