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Vicor、Doosanモビリティ・イノベーションと協業。商用水素燃料電池ドローン実現へ

Vicor、Doosanモビリティ・イノベーションと協業。商用水素燃料電池ドローン実現へ

Vicor Corporation(以下:Vicor)とドローン機体開発しているDoosanモビリティ・イノベーション(Doosan Mobility Innovation)(以下:DMI)と協業したことを発表した。

DMIは、韓国の大手商社のドローンに特化した子会社だ。高エネルギー密度の水素燃料電池をドローンに搭載し、遠隔地で人道支援を行っている。2時間の飛行が可能で、これまでにマスクや緊急物資をアメリカ本土からヴァージン諸島へ、韓国本土から済州島へ輸送して韓国で最も高い漢拏山(6,388ft)へ昇り医療用AEDを届けた。この技術により、距離と積載量をさらに伸ばした輸送ロボットの開発に道がひらけるという。

DMI社ドローン
ソーラーパネルの検査をDMIのドローンによって、効率良く、速く実現

移動する機器に用いる水素燃料電池の開発では、材料科学からシステムレベルの最適化まで、全般にわたる技術革新が必要で、移動距離を伸ばすための鍵は小型化、高効率化、システムの軽量化だという。さらに、長く安定して飛行するためには、高いエネルギー出力と耐久性を備えていなくてはならない。

そのためには、燃料電池スタックの軽量化や、高い電力密度を可能にするパワートレインを構成し、周辺部品を含めたパワーパック全体をシンプルにして、最適なシステム構成にする必要がある。

DMI社のドローン

設計の中核となるのは、システムの電力供給ネットワーク(PDN)の構成と実装だ。DP30パワーパックには、主電源のパワートレインが2つあり、片方はドローンのローターに、もう片方は2つの燃料電池スタックのコントローラに給電する。

DP30の出力電圧は40Vから74Vと広い範囲で変動するため、パワートレインで正確な電圧調整を行い、ローターのモーターに48V、12Aを、燃料電池スタック制御ボードとファンには12V、8Aを確実に出力するように設計されている。

エネルギー密度の比較
エネルギー密度の比較:水素燃料電池とリチウムイオン電池

高効率と高エネルギー密度の電力供給ネットワーク(PDN)を実現するため、DMIはVicorのPRM昇降圧レギュレータとZVS降圧レギュレータを採用。PRMは図5に示すように、水素燃料電池スタックの最大74Vまでの開回路電圧(OCV)を入力することができ、48Vへ調整し安定化する。

水素燃料電池パワーパックの構造
水素燃料電池パワーパックの構造

ローターへ給電する方のPDNは、2つ並列接続されたPRM昇降圧レギュレータ(PRM48AF480T400A00)で構成され、ローターに必要な12Aを供給する。燃料電池スタック内のデジタル制御ボードのPDNには、低電力の(PRM48AH480T200A00)と直列に、48Vから12Vに変換するZVS降圧レギュレータ(PI3546-00-LGIZ)を使用している。

DMIは、現在生産している2.6kWのDP30パワーパック以外にも、電力容量の異なる製品ラインナップを増やす予定。来年発売の1.5kWの水素燃料電池パワーパックに始まり10kWまで様々な電力容量の製品を展開し、それらのパワーパックに対応したドローンを発売する。

DMIは、昨年のCES2020で大きなバナーとともに大きなブースを構えていた

電源モジュールでPDNを構成するVicorのアプローチによれば、PDNに拡張性ができるため、多様な製品ラインナップに対応できる。これによりDMIの技術者は、燃料電池スタック構造の変更、パワートレインや周辺部品、放熱方法といった、電力容量の拡大に伴い発生する技術的課題に集中することができるという。耐久性と安定性を向上させ、エネルギー密度の高い燃料電池を小型・軽量化するという主要目的を、Vicorの導入によりさらに追及できるとしている。

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