調査結果は、横須賀市や葉山アマモ協議会がジャパンブルーエコノミー技術研究組合(以下、JBE)に申請したJブルークレジットの認証取得を受けた。
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2025年1月時点、水中に生息するブルーカーボン生態系(カジメ)の被度計測を水中ドローン撮影とAIモデルを活用して行い、Jブルークレジットの認証を受けたのは国内で初めての事例だ。
「ブルーカーボン調査手法」開発の背景
海藻などの海洋生態系によって大気中のCO2が吸収され、海洋生態系内に貯蓄された炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、気候変動対策や生態系保全の機能で注目されている。
また、海洋生態系による温室効果ガスの吸収量を数値化し、クレジットとして取引可能にするブルーカーボン・クレジット制度は、持続的な海洋生態系の保全を促進する制度として期待が寄せられている。
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一方、ブルーカーボン量の定量化には、広大な保全エリアを現地調査する必要があり、金銭的・時間的なコストがかさむという課題があるという。

そのような課題を解決するために、BlueArchは、ブルーカーボン量を効率的かつ正確に評価することを目的に、水中および空中ドローンとAI技術を活用した新たなモニタリング手法の開発に取り組みました。
水中ドローンとAI技術を用いたカジメの被度調査
神奈川県横須賀市長井の水深5~10mに位置するカジメ場において、2024年9月に水中ドローンとAI技術を活用したカジメの被度(海藻が海底を覆う割合)調査を実施した。
市販の手頃な価格帯の水中ドローンに、長さの基準となる方形枠(コドラート)を装着し、ドローンに取り付けた水中カメラでコドラート枠と対象生態系のカジメを複数の代表点で撮影した。
取得した画像データを基に、AIを用いてコドラート枠およびカジメを検知し、被度を自動算出することで、広域にわたる代表点の正確な被度計測を実現した。この手法により、従来の潜水調査手法と比較して、調査の効率化およびコスト削減が期待できることを確認した。
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水中に生息するブルーカーボン生態系の被度計測を水中ドローンとAIモデルを活用して行い、Jブルークレジットの認証を受けたのは、国内で初の事例となる。なお、本調査手法の研究開発は、公益社団法人日本財団の助成支援を受けて実施された。


空中ドローンとデータ解析技術を用いたヒジキの実勢面積調査

神奈川県三浦郡葉山町地先の潮間帯では、2024年6月にヒジキの保全エリア2地点を空中ドローンで撮影した。その後、取得した画像をオルソ結合し、エッジ検出を用いたデータ解析により、対象とするヒジキ領域を自動抽出する手法を適用した。
この手法を活用することで、水面付近に広く分布するヒジキの分布面積を効率的かつ正確に評価できることが確認できた。
今後の展望
BlueArchでは、今後もより効率的で正確なブルーカーボンモニタリング手法の実現を目指して研究開発を進め、ブルーカーボン生態系の保全活動の促進・Jブルークレジット制度の活性化に貢献していく。
操縦型水中ドローン(ROV)やAI技術に加え、自律型海中ロボット(AUV)など複数の分析技術の統合による藻場調査の効率化・精度向上を図るという。
海洋生態系の保全やブルーカーボンによる気候変動対策は、単独の主体で解決できる課題ではないため、パートナーシップを通じて海の環境課題に取り組む姿勢を大切にしており、さまざまな企業や大学とのコラボレーションを加速させていく方針だとしている。