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ニュース

NIMSと成蹊大学、電極の空隙制御でリチウム空気電池の出力電流が10倍に。ドローンの長時間飛行化の実現へ大きな一歩

国立研究開発法人NIMSは、成蹊大学との共同研究により、次世代型電池として注目されているリチウム空気電池の高出力化に成功した

2025年3月11日
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カーボンナノチューブからなる高空隙な電極開発により、出力電流が10倍向上。同研究で開発したリチウム空気電池は、リチウムイオン電池と比べてエネルギー密度が極めて高いだけでなく、出力特性も大幅に向上する。

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Contents
研究成果の概要従来の課題成果のポイント将来の展望その他研究詳細研究の背景研究内容と成果今後の展開掲載論文

これにより小型ドローンのホバリングに必要な電力を供給できるようになり、航続時間の大幅な向上が期待される。この研究成果は、2月9日にJournal of Power Sources誌のオンライン版に掲載された。

研究成果の概要

従来の課題

リチウム空気電池は、リチウムと空気中の酸素を使って放電・充電する二次電池だ。リチウムイオン電池と比べて5-10倍の高エネルギー密度化が可能で、電池の圧倒的な軽量化・大容量化を実現する蓄電技術として注目されている。しかしリチウム空気電池の電池反応は非常に遅く、極めて微弱な出力電流しか得られなかった。リチウム空気電池に蓄電されている大きなエネルギーを活用するには、リチウム空気電池の抜本的な高出力化が必要とされていた。

成果のポイント

今回、研究チームはリチウム空気電池の高出力化に必要な電極を開発した。カーボンナノチューブを用いて電極を高空隙化することで、酸素の高効率吸収が可能になった。さらにこの電極を酸素の拡散輸送に優れる電解液と組み合わせることで、従来に比べて1ケタ以上の出力電流向上に成功した。

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このリチウム空気電池の重さあたりの出力密度を調べたところ、ドローンがホバリングに必要とする電力を供給できることが分かった。

250311_NIMS_01
電池のエネルギー密度と出力密度の関係

将来の展望

今後、この成果をもとにリチウム空気電池セルのスケールアップを図ることで、小型ドローンやマイクロロボットの電源として利用できる超軽量&大容量バッテリーの開発を目指していく。

その他

同研究は、NIMSエネルギー・環境材料研究センター 二次電池材料グループの野村 晃敬 主任研究員、成蹊大学理工学部の東 翔太 客員研究員(現所属:東京高専)、小沢 文智 助教、齋藤 守弘 教授からなる研究チームによって、JST A-STEPトライアウト(課題番号:JPMJTM22AQ)、科学研究費助成事業(24K08154)およびNIMS連携拠点推進制度の一環として行われた。

同研究成果は、2025年2月9日にJournal of Power Sourcesのオンライン版に掲載された。

研究詳細

研究の背景

リチウム空気電池はリチウムと空気中の酸素を使って発電し、充電してくり返し使うことができる二次電池だ。リチウムは最も軽い金属で、電池電極に用いることで高い電池電圧を得ることができる。また、酸素は空気中から取り込んで利用するため、電池に組み込んでおく必要がない。このため非常に軽量かつ大容量な電池開発が可能で、現在のリチウムイオン電池と比べて約10倍の高いエネルギー密度をもつリチウム空気電池が既に実証されている。

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このようなリチウム空気電池の用途として有望視されているのが、ドローンのような小型電動飛行体のバッテリーだ。ドローンは人に代わって様々な場所や空間に移動して作業することができるため、小口荷物の運配送や空撮、測量、インフラ設備点検など、多岐にわたる産業分野で活用が進められている。

しかし、電池で動かす小型ドローンは、一度の充電で飛行できる時間が10-20分程度に限られており、頻繁な充電とバッテリー交換が必要なため、その活用範囲は限定的だ。ドローンの飛行時間を引き延ばすには、バッテリーのエネルギー密度の向上、すなわち電池の軽量・大容量化が必須だ。しかし現在のリチウムイオン電池は、既にその性能限界近くまで開発しつくされており、抜本的な飛行時間の伸長は困難だった。

リチウムイオン電池比で最大10倍程度の高エネルギー密度化が可能なリチウム空気電池バッテリーを開発できれば、数時間程度の連続飛行ができる小型ドローンが実現する。ところが従来のリチウム空気電池は、電池反応が非常に遅いため、極めて微弱な出力電流しか取り出すことができなかった。

ドローンはモータープロペラを高速回転させて空中をホバリングしながら飛行するため、その消費電力は非常に大きく、バッテリーには高い出力特性が要求される。バッテリーのエネルギー密度がいくら向上しても、出力特性が低いままではドローンを飛行させることはできない。リチウム空気電池をドローン向けバッテリーへ展開するには、リチウム空気電池の出力特性向上が不可欠な課題となっていた。

研究内容と成果

リチウム空気電池の出力特性向上に向けて、まず研究チームはカーボン電極における電池反応の追跡を行った。リチウム空気電池は、負極にリチウム金属、正極にカーボン電極を用い、セパレータを介してこれらの電極を重ねることで構成する(図1(左))。放電後のカーボン電極の酸素の分布を調べたところ(図1(右)の緑色部分)、電極の内部にはほとんど酸素が取り込まれておらず、反応が進んでいないことが分かった。

そこで研究チームはカーボン電極の高空隙化に取り組んだ。従来、リチウム空気電池向けのカーボン電極は、カーボンブラックのようなカーボン粉体をシート状に圧着させて作製される。しかし、このようなカーボン電極は、カーボン粒子どうしが密に充填されているため、酸素ガスを吸収しづらく、非常にゆっくりとした放電反応しか進めることができなかった。

研究チームは繊維状のカーボンであるカーボンナノチューブに着目し、酸素を効率よく吸収できるような電極の構造形成に取り組みました。カーボンナノチューブの長さや太さといった材質の選択、カーボンナノチューブの分散や成膜方法を調節し、非常に空隙率の高い構造(空隙率90%超)でありながら、優れた自立性と導電性を発揮するカーボン電極を開発した。これにより、高効率な酸素ガス吸収と放電反応が可能になった(図1(右))。

250311_NIMS_02
図1 リチウム空気電池の構造(左)とカーボン電極(右)

次に研究チームは電池反応を加速する電解液の設計に取り組んだ。電解液はリチウムイオンと酸素をカーボン電極の反応面へ運ぶ重要な役割を果たす。出力電流が大きくなるほど、リチウムイオンと酸素の迅速な輸送が求められる。リチウム空気電池の高い電池電圧と酸化ストレスに耐えうるアミド溶媒の電解液を用い、リチウム空気電池セルの内部抵抗を分析したところ、電解液中の酸素の拡散輸送にかかる抵抗が大きな抵抗成分となっていることを突き止めた。

そこで酸素の拡散性を高めるべく、粘度の低いアミド溶媒をベースに電解液を設計することにより、セルの内部抵抗を抑え出力電流を大幅に増大させることに成功した(図2)。

250311_NIMS_03
図2 リチウム空気電池セルの内部抵抗成分と電解液による放電特性の違い

さらに研究チームは開発した高空隙カーボン電極と低粘度アミド電解液を用い、リチウム空気電池の設計・試作を行った。低粘度アミド電解液は揮発性が顕著なため、電解液の揮発を最小限に抑える電池構造が必要になる。研究チームはカーボン電極の上に薄いガス拡散層を設け、このガス拡散層の断面方向から酸素ガス交換を行う電池構造を採用した。これにより、電解液の揮発を抑え長期間の電池試験を行えるようにした(図3(左))。

試作したリチウム空気電池の放充電サイクル試験を行ったところ、従来のリチウム空気電池と同じ高いエネルギー密度(~500Wh/kg)を達成しながら、出力密度を10倍程度まで(~500W/kg)向上させることに成功した。ドローンのホバリングには少なくとも400~500W/kg程度の出力密度を発揮するバッテリーが必要だ。

今回のリチウム空気電池の高出力化の成功により、リチウム空気電池でもドローンホバリングに必要な電力を供給できることになる(図3(右))。

250311_NIMS_04
図3 開発したリチウム空気電池の構造(左)および電池エネルギー密度と出力密度の関係(右)

今後の展開

小型ドローンは一度に飛行できる時間が短く、移動距離や作業時間に大きな制約がある点がドローンの普及促進を困難にしている。高エネルギー密度で、ドローンも飛ばすことができるバッテリー開発により、飛行時間を抜本的に引き延ばすことができる。たとえば1時間程度の連続飛行により、離島や山間部への日常的な運配送や、緊急物資の輸送迅速化、トンネル・橋梁・送電線など様々なインフラ設備の点検・保守作業の大幅コストダウンなど、ドローンの一般普及が現実味を帯びてくる。

軽量・小型・大容量なバッテリーは、災害時に発生するがれきの内部や、火山、原子炉など、極限空間を探索・調査するマイクロロボットにも展開可能だ。高エネルギー密度かつ高出力密度のリチウム空気電池バッテリーの開発を継続し、こうしたデバイスの駆動時間と信頼性向上に貢献していく。

掲載論文

題目 Highly porous carbon nanotube air-electrode combined with low-viscosity amide-based electrolyte enabling high-power, high-energy lithium-air batteries
著者 Akihiro Nomura, Shota Azuma, Fumisato Ozawa, Morihiro Saito
雑誌 Journal of Power Sources
DOI 10.1016/j.jpowsour.2025.236426
掲載日時 2025年2月9日

▶︎NIMS

▶︎成蹊大学

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watanabe 2025年3月11日
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