空から水・陸へ拡がる最新の農業ドローンたち「関西 農業ワールド2019」

2019-06-17 掲載

西日本最大の農業総合展「関西 農業ワールド2019」が5月23日から24日の3日間、インテックス大阪で開催された。農業向けドローンの展示数はそれほど多くはないが、自律飛行による農薬散布の規制緩和などが進んでいる影響からか各ブースを訪れる来場者数は多く、高度な飛行システムや用途にあわせた様々な機能の開発に力を入れるメーカーが目立っていた。さらに空中だけでなく、水上と陸上で利用するドローン=自律型ロボットの展示も複数あり、プロトタイプだけでなくすでに発売されているモデルも紹介されていた。

関西 農業ワールド2018
■XAIRCRAF

登録した範囲を指定して自律飛行する農薬散布用ドローンの開発に力を入れるXAIRCRAFTは、P20、P30、XMissionの3タイプを展示。いよいよ年内発売を予定しているというP30は、新しい飛行システムと新設計の農業用AI、障害物回避センサーを搭載し、大型ながらで安定した飛行力と防水性能をアピールしていた。

同じく年内発売予定のXMissionは、センチメートルでのコントロールが可能で、折り畳みで持ち運びも簡単。Pシリーズ機をコントロールするための地理情報データの収集をはじめ、マルチスペクトラムカメラを使用した土壌分析や、病害の検出などにも使用できる。

会場では、ドローンから収集した情報だけでなく、地上から収集したデータやIoTも活用した「XAGスマート農業ソリューション」についても紹介し、その一つに農地の登録作業を軽減したり、繰り返し使用する際の修正の自動化を目的にしていると言う。中国機のため機体の販売認可そのものが遅れているようだが、問い合わせは増えており、発売までにさらにシステムを向上させたいとも話していた。

■ciRoborics

ヘリコプターのようなシングルロータータイプの農薬散布ドローンciDrone SRは、電動タイプは50分以上、ガソリンタイプは最大3時間以上という長時間連続飛行できるのが特徴で、風速14メートルの強風に耐えられ、最大積載重量も28kgというパワーを備えている。もう一つのマルチロータータイプのciDrone AGは、飛行の際の乱気流で散布にムラができないよう散布用アームが工夫されていて、土壌の画像解析にももちろん利用できる。

ciRoboricsは他にも水上用ドローンYAMATOを開発。水田に稲を植える前に除草剤を散布したり、同じ用途で貯水槽やため池の除草に活用することができる。エンジン音が静かで稼働時間も1時間と長く、全長も1メートルなので比較的小さな水田でも使える。農薬の積載量は最大4リットルでムラ無く散布できるのが魅力で、短時間で作業できる点から作業効率のアップが見込めるという。

もう一つ、ciRoboricsのブースでは、つくば市のドーグが開発する追従運搬ロボットサウザーが展示されていた。レーザーセンサーを使って目標を自動追尾し、手ぶらで重いものを運ぶことができる。四輪のうち2つが滑車になっていて、狭い展示ブースの中でも人にぶつからず移動できるほど細かな駆動性能を供え、人が横切ると自動で静止する。場所によってはジョイスティックを使って手動運転に切り替えることも可能。開発は2015年から始まっており、すでに販売されている。

サウザー
■agbee(アグビー)

農作業を広くサポートする陸上ドローン「アグビー」も今年は大々的に展示されていた。中西金属工業と慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の奥出直人教授との共同プロジェクトにより2015年から開発されロボットで、利用者を追尾して自動走行できるほか、害獣を追い払ったり、水を撒いたり、時には店頭で販売車両として利用するなど多彩なシーンでの利用を想定している。

一番の特徴は地上をセンシングして土壌の解析や収穫量などのデータを収集し、独自アプリの「Hello.agbee」を使用してそれらのデータを見える化することで、農作業の質全体を高めることを目標としている。

また、農作業のイメージを変えるため、見た目はお洒落でカラーリングはカスタマイズできるようにしている。あぜ道も安定して走行できるよう車体を低く、キャタピラを採用しているが、今後の実験によっては改良される可能性もあるという。現在は大阪府泉州地域で実証実験を重ねており、会場ではその実験協力先の方たちがデザインした試験車両が展示されていた。早ければ年内での発売もあるとのことで、これから大きく話題になりそうだ。

agbee(アグビー)
■e-Tanada

会場ではドローンを活用して棚田を適切に栽培管理するプロジェクト「e-Tanada」も紹介されていた。ドローン事業会社のKMTと一般社団法人日本未来農業研究会の共同研究事業で、ドローンからの空中撮影画像を解析し、棚田を一枚単位で管理することで適切な栽培方法を実行し、収穫量と品質をアップしたブランド米の栽培を目標としている。

プレゼンを行った研究会代表理事の下髙敏彰博士は、市販されている中型サイズのドローンでも高性能な画像データが撮影可能で、収穫に反映できる分析も可能だとしている。今シーズンはデータを元に実際に美味しいお米ができることを証明したいと話していた。

e-Tanadaではパロットのドローン(写真右)を使用して実験を行っている 試験飛行で収集した画像解析データの一部を紹介

農業でのドローン活用に対する期待の高まりは、会場に出展していたドローンスクールが「今年に入って問い合わせが増えている」というコメントからも伺える。今年3月に農林水産省は「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」を設置し、農業者や民間事業者のニーズをくみ取り、情報発信を行う活動を開始している。来年はそれらの影響でさらにドローンの導入意欲が高まり、市場ニーズにあわせたドローンの開発が進むことに期待したい。

第3回 関西農業Week(結果報告)

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