かわさき新産業創造センター(KBIC)に入居するTEAD株式会社は、神奈川県伊勢原市の圃場において、粒剤散布ドローン「TA408」を活用した防除作業および「リアルタイム圃場監視システム」による経過観察実験を実施した。
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同実験は、神奈川県の「ドローン前提社会の実現に向けたモデル事業」において、「スクミリンゴガイ被害対策ドローン粒剤散布実験と防除散布効果の経過観察」をテーマに計画。2021年6月~7月に神奈川県農業技術センターの助言のもと実施手法の検討を重ね、昨シーズン大きな被害が発生した県内圃場地で、TEADが主体となり実験を実施した。
苗の食害被害を受けた圃場を含む約2ヘクタールの隣接する圃場で、先端技術を活用した複合的なスクミリンゴガイ対策を実施し、今シーズンはスクミリンゴガイによる被害を最小限に抑えることに成功したという。
圃場のリアルタイム映像からは、スクミリンゴガイ対策以外の情報も得られ、多様な状況に合わせて同システムを応用するための課題を抽出することができた。日々保存した定点映像からは、作物の発育状況を時系列で確認することができ、各種対策と効果の検証ができたことも有益な点だとしている。
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■スクミリンゴガイ対策の実験内容
同実験では、TA408を利用した広域(エリア)防除剤散布、圃場のリアルタイム監視による浅水管理、被害の早期発見/防除を行い、総合的なスクミリンゴガイ対策を実施した。
TA408による広域(エリア)防除剤散布
スクミリンゴガイは、圃場から圃場へと移動して侵入するため、広域で対策を行う必要がある。同実験は広域散布の有用性の検証を目的に、隣接する圃場にて構成される1つのエリアに対して行われた。
手作業での粒剤散布は散布装置を背負いながら圃場内を歩き回る必要があり、広域になるほど重労働になる。ドローンで散布することにより、省力化と作業時間の短縮を実現した。
圃場のリアルタイム監視による浅水管理
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防除剤散布により、圃場内のスクミリンゴガイの多くを死滅させることができる。しかし水路などからも侵入してくるため、目を離した数日の間に甚大な被害を受けることも少なくないという。
圃場内のスクミリンゴガイの移動を制限するには、浅水管理が重要なため、粒剤散布後の圃場にインターネットを介して圃場の状況を正確に把握することができる「圃場監視システム(仮称)」を設置した。
■圃場監視システムについて
同システムから得た映像情報により、稲の生育状況や水位などを確認できる。現地へ行き目視で確認していた内容を、自宅など遠隔で行うことが可能になる。
また、複数箇所を同一のスマホ用アプリで映像監視することや、権限が付与された複数人がシステムにアクセスすることも可能。太陽光発電により電源を得るため、電源確保が課題であった農地にも設置することができる。