ドコモグループの法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開するNTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、羽田空港に近接し人口密集地に位置する東京港埠頭の敷地において、ドローンポート「Skydio Dock for X10※1」を活用した災害時における迅速な状況確認の実証実験(以下 同実証)に成功した。同実証では災害時に十分なネットワーク環境が準備できないことを想定し、通信回線には「Starlink Business※2」を活用した。また、Skydio X10※3のズーム機能を使うことで、海上を渡ることなく1.6km先の対岸エリアの状況の確認が可能となり、災害対応における有用性が明らかになった。
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1.同実証の背景
東京港埠頭は、東京湾をまたがる広大な敷地を管理しているため、災害時には埠頭の対岸状況を迅速に確認する必要がある。これまでは、約49万5700平米に及ぶ敷地の対岸状況を職員が現場に向かい確認をしていたが、移動に時間を要してしまうことや、災害時に現地へ向かうことで起こりうる二次災害の危険性が課題となっていた。また、大雨や地震などの発生時における通信手段の確保も課題となっていた。
このような課題を解決するため、同実証では高性能なズーム機能を有するSkydio X10と自動離着陸および自動給電が可能なドローンポート「Skydio Dock for X10」、地上の状況に左右されず災害時でも高速・低遅延な通信を可能とする「Starlink Business」を活用した。
2.同実証の概要
同実証は、東京港埠頭にてSkydio X10とドローンポート「Skydio Dock for X10」および「Starlink Business」を活用し、5日間で合計63フライトの実証実験を行った。
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操作画面上では、ドローンに搭載されたカメラの高精細な映像を通じて現地の状況をリアルタイムに確認でき、高性能なズーム機能を用いて海上を渡ることなく明瞭に約1.6km離れた対岸の様子を把握することができた。


同実証の様子
3.今後の取り組み
今後は、実運用に向けてさらなる検証を進めるとともに、災害時や緊急時における迅速な状況確認だけでなく、現場におけるその後の的確な意思決定を支える。また、他の港湾施設への展開を図り、全国の広域災害対応や港湾DXの推進に貢献していく。
さらに、通信基盤のさらなる強化に向けては、「LTE上空利用プラン※4」のオプションとして、2025年夏ごろに提供開始を予定しているパケット優先制御機能※5を活用することで、混雑環境下においても安定した映像品質を確保し、ドローンによる状況把握の高度化を図る。
※1:Skydio Dock for X10は、Skydio X10ドローン専用のドローンポートで、遠隔地からのドローンの自動充電、飛行操作、リアルタイム映像確認を可能にする。
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※2:Starlink Businessは、数千機の低軌道衛星で「高速・低遅延通信」を実現した「衛星インターネットサービス」。
※3:Skydio X10は、最先端AIと高性能センサーを搭載した小型ドローン。
※4:LTE上空利用プランは、株式会社NTTドコモとNTT Comが連携して提供している。
※5:パケット優先制御機能は、モバイルネットワークにおいて、特定のユーザーやサービスに対して他のユーザーよりも優先的にパケットを割り当てることで、通信の安定化と速度向上を実現する技術。混雑環境下においても安定した映像品質を確保し、ドローンによる状況把握の高度化を図る。
*Skydioへは株式会社NTTドコモ・ベンチャーズより出資を行っており、ドコモグループと資本・事業面で提携している。
*「Skydio X10」はSkydioの商標である。
*本報道発表は、NTTグループ各社等が展開する宇宙ビジネスのブランド「NTT C89」の取り組みの1つ。
「NTT C89」は、日本電信電話株式会社の商標。「NTT CONSTELLATION 89 PROJECT」の略称であり、社会へのソリューション提供を通じて宇宙関連事業の拡大および宇宙産業全体の発展に貢献していく取り組みである。