同システムは、資機材の配置や障害物の位置が施工状況に応じて日々変化する建設現場の環境下において、自由度の高い自動搬送を行うことにより資材搬送の省人化を実現する技術だ。フォークリフト型ロボットと軽量タイプのパレット型ロボットの2機種で構成されている。
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今回、この2機種を首都圏内の建設現場に導入して行った実証実験により、その実用性を確認したという。このうちフォークリフト型ロボットは、同社、ラピュタロボティクス株式会社および住友ナコフォークリフト株式会社による共同開発。「ランダムピックアップ機能※」を搭載している。
※ランダムピックアップ機能:指定エリア内に置かれた資材をカメラによる画像解析で判別し、資材の種別ごとに仕分けて別途指定したエリアに搬送・片付けるという高度な自動搬送を実現するシステム。資材の入った台車などにICタグやマーカー等は不要で、事前学習した台車や資材に対して画像から種別を判断するとともに、タイヤ位置などから台車の向きを認識した上で、センターを捉えてフォークを挿入する位置と高さを自動調整して搬送作業を行うことができる仕組み。米、欧、日で特許出願中。
背景
建設業界では、社会の高齢化に伴う労働力確保への対応、長時間労働環境の改善が命題とされるなか、ロボット等のICTを活用して労働生産性の向上を図り、働き方改革を推進することが業界全体の急務となっているという。
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建設工事の各工程の中でも、ロボット等の導入による省人化と作業効率の向上が求められる分野のひとつに建設現場での資材搬入がある。建設現場では搬入車両の荷卸しから各フロアへの資材搬送、フロア内指定箇所への資材ごとの運搬に至るまで多くの人手を必要とすることから、これまでにも資機材の搬送を省人化する様々なシステムの導入が試みられていたという。
しかし、現状の普及型自動搬送システムは、搬送物が一定条件に基づいて置かれていることを前提としており、搬送対象となる資材の位置や向き、種別の判別、さらに資材の有無や保管場所の探索まで行えるような高度な機能は備えていなかった。
そこで同社は、これらの課題を踏まえ、従来のICタグやマーカーの配置などによる誘導を必要とせず、AIによる画像解析やマッピング技術を用いることで建設現場特有の作業環境でも対応できる自律走行搬送ロボットシステム「T-DriveX」を開発した。
このうちフォークリフト型ロボットに搭載されたランダムピックアップ機能は、搬送物を探索しながら識別して自動搬送することができる従来にない高度な機能だとして、建設現場だけでなく幅広い分野での活用が期待されているという。
型式 | TA-SPX10(フォークリフト型ロボット) | TA-IC10(パレット型ロボット) |
ランダムピックアップ機能 | ◯ | - |
愛称 | Rapyu.(ラピュー) | KarX(カルックス) |
ベース機製造会社 | 住友ナコフォークリフト株式会社 | 愛知機械テクノシステム株式会社 |
本体(ベース)重量 | 1300kg(1200kg) | 300kg(200kg) |
定格荷重 | 900kg | 1600kg |
運用対象 | 高層オフィスビルの基準階での仕上げ材などの資材搬入、片付け、整理整頓 | |
操作方法 | 汎用搬出入システムとのアプリケーション連携によりタブレット等で容易に実施 |
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T-DriveXのの特徴
フロア内での資材の搬入・搬送を自動化(フォークリフト型、パレット型搭載機能)
工事用エレベータで対象フロアに資材を上げると、待機していた同ロボットが資材をピックアップしてエレベータ付近の仮置き場への自動搬送を繰り返す。仮置き場からは夜間の時間帯などに複数台のロボットが連携して必要な資材を作業場所近くの搬送先エリアまで自律走行で運搬する。
工事用エレベータのオペレータがロボットに作業開始を指示するだけで、仮置き場への資材搬送ができる。また、搬送先エリアへの資材ごとの搬送はタブレットから場所を指定するだけで行えるため、一連の資材搬入作業の省人化、効率化を実現するという。
ランダムピックアップ機能により資材を種別ごとに搬送(フォークリフト型搭載機能)
同ロボットは、指定エリア内にある台車や資材をカメラによる画像解析で判別し、種別ごとに仕分けて別途指定したエリアに自動搬送し片付けるというランダムピックアップ機能を搭載している(図2参照)。
台車などの向きも認識できるため、台車の並べ直しやパレットの向きを揃える事前準備は不要だ。搬入作業を進めながら裏側に隠れている台車も認識して対応可能であり、資材を効率的に搬送できる。建設現場での片付け・整理整頓や天井仕上げ前の台車と資材の移動など現場状況に応じて極めて自由度の高い活用が可能なことから、様々な局面に応用展開することができるとしている。
今後の方針
今後同社は、同搬送システム運用でのさらなる安全性の向上に加え、軽量タイプであるパレット型ロボットの機能向上や、長物運搬に特化した自律走行搬送ロボットの開発、ユーザーインターフェースのブラッシュアップ等を行うという。同時に、今回開発したランダムピックアップ機能を高機能な自動搬送を実現する基盤技術と位置づけ、建設業界だけでなく様々な分野で広く活用できるようシステムの改良を進めて行くとしている。