背景と課題
これまで、インフラ設備の点検において、0.1mmのクラックが鮮明に判別できるドローンに搭載可能な国産カメラ及びそのカメラを搭載した機体の実運用が進んでおらず、真に簡便で高効率な点検調査が可能なドローンは現在、社会実装されていないのが現状だ。
- Advertisement -
また、機体については、サイズ、重量、飛行時間、安定性などの相反する性能の最適化が求められ、現状のものは機動力に乏しく、機敏さが欠如しており、高精度な点検業務には不十分だという。
また、周辺環境の状況に応じて飛行できる自律性を備えていないため、安全性も課題となっており、飛行方法については、平時の点検等ではオペレーター1人が1機を飛行させて点検するのが⼀般的であり、作業効率が悪く採算性に欠けていた。
開発概要
先に述べた背景からAutonomyHDは、インフラ設備点検において、1億200万画素のカメラを搭載した0.1mmのクラックが鮮明に判別でき、赤外線カメラを同時に搭載した、真に簡便で高効率な点検調査が可能なドローンを開発する。
- Advertisement -
機体は電動回転翼型(クワッドコプター)とし、簡便に搬送可能だ。また、上記した1億200万画素カメラと赤外線カメラとを自在に制御可能なジンバルを備え、主な仕様は、ペイロード7㎏程度、本体重量約13kg、飛行時間30分の性能を持つとともに、国産オートパイロットを実装した機体を開発する。
さらに、次世代型オートパイロットも実装予定。飛行方法については、1人のオペレーターが複数機(2機~5機程度)を飛行させることのできるサブスウォーム飛行技術を開発し、より効率的なインフラ設備点検が可能となるという。
開発内容
具体的な開発については、設備点検用として0.1mmのクラックが鮮明に判別できる1億200万画素のカメラと、赤外線カメラを搭載した高効率な点検調査用のドローンを開発し、最適飛行制御と知能化制御を行います。
図3には、カメラ画素数の相違によるクラック画像の鮮明度を比較した。(a)は2,430万画素デジタルカメラ、(b)は1億200万画素デジタルカメラ(富士フイルム社GFXシリーズ)による画像だ。(b)では0.1mm幅のクラックが鮮明に検知できている。
ドローンに搭載したカメラを用いて飛行中にこのような鮮明な画像を取得するためには、ドローンのホバリング時における静止位置精度の向上が極めて重要であり、飛行制御技術の高度化が不可欠だ。
- Advertisement -
すなわち鮮明な画像の取得の可否は完璧な最適飛行制御技術の実装の有無に依存する。高性能点検ドローン「Surveyor-Ⅳ」が市場に登場すれば、高効率な点検が可能なドローンとして、インフラ設備の点検市場で、ドローンの導入が大幅に増加することが期待されるという。
また、サブスウォーム飛行技術についても同様であり、オペレーションスタッフの削減などの効果がある。
仕様
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
機体寸法 | 展開状態 | 1,060×1,060×675mm |
折り畳み | 530×405×675mm | |
プロペラ | 4基(直径 568mm) | |
モーター寸法 | Φ69mm×40mm | |
標準装備離陸重量 | 13kg | |
最大離陸重量 | 18kg | |
飛行時間 | 30 分 | |
最大ペイロード | 7kg | |
バッテリー | 寸法 | 169×101×90mm |
容量 | 12S 10,000mAh 2本 | |
水平最大飛行速度 | 12m/s | |
最大上昇速度 | 5m/s | |
次第加工速度 | 3m/s | |
耐風性能 | 12m/s | |
最大方位角速度 | 60°/s | |
飛行モード | マニュアル、GPS アシスト、自律飛行 | |
遠隔操縦 | LTE、5G モジュール経由操作 | |
搭載可能カメラ | GFX100SII、デュアルレンズカメラ(可視光・サーマル) | |
障害物検知機能 | 5 方向(前方,上方,下方,左方,右方) |