規模が拡大「DSEI Japan 2025」開幕
2025年5月22日、アジア太平洋地域における最大級の総合防衛・安全保障展示会「DSEI Japan 2025」が幕を開けた。東京・幕張メッセを会場に開催されるこのイベントは、世界33カ国から471社が出展し、日本国内からも過去最多となる169社が参加。2023年と比べて出展者数は約1.6倍、会場面積は2倍以上に拡大し、来場者数も1万4,000人以上が見込まれるなど、そのスケールと注目度の高さが際立っている。イギリス発祥の「DSEI」は世界最大級の防衛・安全保障分野の展示会として知られ、日本では2019年より日本政府による後援のもと「DSEI Japan」として開催されている。
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防衛費増額への世論の支持が強まり、「積極的平和主義」へと舵を切る中、日本の安全保障政策と産業構造は大きな転換点を迎えている。DSEI Japanは、国内外の防衛関連企業が最新技術や戦略的連携の可能性を披露し、世界各国の国防省関係者や防衛装備庁、自衛隊関係者らとリアルな対話と商談を行う場として、その存在感を年々高めている。
今展示会では、C4ISRシステム、無人機(UAV・UGV)、電子戦、次世代戦闘機構想(GCAP)に関する展示が注目を集める中、日本の大手企業や官公庁も積極的に出展。IHI、川崎重工、防衛装備庁などのブースには、最新技術や共同開発の現況を求めて多くの来場者が足を止めていた。
総合防衛・安全保障の世界ともドローンは数多く研究開発され親和性が高く多くのブースでドローンの展示も見られた。本レポートでは、こうした注目企業・団体ごとの展示ブースの様子や出展内容をブースごとに詳細に紹介していく。
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防衛産業の“いま”と“これから”を見せた会場から
防衛装備庁(ATLA)

防衛装備庁は、2015年に設立された防衛省の外局で、日本の防衛力を支える装備品の研究・開発、調達、管理、国際協力を担う機関。今回のDSEIJapanを後援しておりている。予定している展示内容は「車両搭載高出力レーザ実証装置」の実機、「12式地対艦誘導弾能力向上型」「レールガン」「戦闘支援型多目的USV」の模型、「島嶼防衛用高速滑空弾」の動画となっている。陸・海・空自衛隊も主要装備品の展示が行われていた。

株式会社IHI

エンジン技術を核に、次世代戦闘機と宇宙防衛を示す展示構成。IHIは、F-X(日英伊共同開発の次期戦闘機=GCAP)向けエンジン共同開発の一端を担う企業として、展示の軸を「推進システム」と「宇宙防衛」に据えた。
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展示されていたAUVテストベットはインパクト大。機音響センサ、光学センサなど他センサーが実装され器本体が自律的に 状況を判断して水中を航行できる無人機である。
BAEシステムズ

BAEシステムズ(英語: BAE Systems plc)は、1999年に設立されたイギリスの国防・情報セキュリティ・航空宇宙関連企業である。BAEは、戦車、戦闘機、潜水艦などを開発、製造する国防産業を擁する。

T-150 UASは、あらゆる天候条件下で68kgのペイロードを誇る。、貨物の積載量とコストパフォーマンスが向上している。貨物輸送が可能で、最も過酷な軍事環境向けに設計されている。お北極圏、砂漠、海上での兵站運用が実証されている。T-150は電動UASであり、卓越した運用を実現し、主要なロジスティクス・ドローンとして世界中の軍隊に認められている。
BAEシステムズは、陸・海・空と宇宙そしてサイバーの安全保障分野において、世界的に存在感を放つ英国企業。得意とする電子戦や電子対抗手段に関する展示のほか、最近の宇宙領域における関心の高まりを受けて、各種の小型衛星などに関する展示が期待される。
岩谷技研

岩谷技研は、高高度ガス気球、旅行用機密キャビンなどの開発・製造などを行う企業。将来的には有人で「宇宙遊覧フライト」の実現を目指す。

一昨年国内で初めて、国土交通省航空局より航空機以外でのトランスポンダ(電波中継機器)の”ICAO24ビットアドレス”の割当てを受けている。これは、HAPS、ロケット、ドローンでも前例は無いという。高高度ガス気球トランスポンダを搭載することにより、の管制が可能となる。
PRODRONE

PRODRONEは、ガソリンエンジンで高速で長時間飛行を実現するシングルローター新製品 「PRODRONE GT-M」を展示。前機種より小型化し、USD 20,000-(予価)も魅力的な価格となっている。耐風性&特殊飛行:20m/sの耐風性&ホバリング能力を誇り、時速135kmで50分飛行を実現する。アップグレードされた燃料タンクで飛行時間を4時間に延長された。
AirKamuy

愛知県を拠点に活動するAirKamuy (エアカムイ)は、防衛産業への参入を視野に設立されたスタートアップ企業だ。今回は、段ボール製小型無人機「 Airkamuy 150」を発表しており、DSEIJapanでも展示さえれる見込みだ。

ANA(全日空商事株式会社)

防衛や宇宙関連を幅広く扱う全日空商事株式会社は、Dawn Aerospace社のスペースプレインMk-II AURORAを紹介。
Mk-II AURORAは、往還型の機体で、最高速度マッハ3.0+、高度100km到達を目標に開発中。現在高度約25km、マッハ1.1を達成、計58回の試験飛行に成功しているという。ペイロードを搭載することでデータ取得を可能とし、また短時間で高高度に到達できるため、上空からの情報収集にも対応可能。約1,000mの滑走路から離着陸でき、1日に複数回のフライトが可能なことも特徴である。

HAMA

福島県を拠点とするHAMA K.K.社は、水上からの離陸も可能な無人飛行艇「HAMADORI」シリーズを開発・運用するスタートアップ企業。海洋科学調査や島嶼間物資輸送などのほか、防衛用途での需要も高まっている。今回社名をスペースエンターテインメントラボラトリーからHAMAに変更した。