長時間飛行実現の背景
ソラテクノロジーと飛行機研が共同開発を進めていたソーラープレーンでは、長時間飛行するための課題として、飛行制御や電力制御、異常を検知することだという。
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その課題を克服するためには、フライトコントローラや電源管理システムなどのデバイスの高性能化が求められ、ムラタ社が製造しているデバイスであれば、長時間飛行が可能になるというアイデアで、ムラタが主催する共創プロジェクト「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」に応募し、2023年3月に最優秀賞に選出された。
その後、ムラタから提供を受けた各種デバイスをソーラープレーンに搭載した試作機を作り、飛行試験を行った。
飛行実績
2023年8月に栃木県宇都宮市で行った飛行試験では、ソーラープレーンが飛行するために必要な消費エネルギーを太陽光から得られるエネルギーが超えるように設計した機体が、7時間7分という長時間飛行を実現した。これまでの日本国内の最長記録だという。
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※飛行機研及びソラテクノロジー調べ
ソーラープレーンに搭載したバッテリーの電圧は、太陽が出ている時間帯ではほとんど変化がなく、これは、飛ぶために消費されるエネルギーを超えるエネルギーがソーラー発電によって供給できたことを意味している。
今後、ムラタ製の高性能デバイスを使うことでエネルギー容量を向上させつつ、飛行高度や位置を従来よりも高精度に計測できるように開発を進めるとしている。
長時間飛行の実現による今後の展望
長時間飛行ができる無人ソーラープレーンを実現したことで、ソラテクノロジーが取り組むマラリア媒介蚊の幼虫(ボウフラ)の駆除がより効率的になり、低コスト化が可能だ。その他の用途として次の分野での活用が見込まれる。
- グリーントランスフォーメーション分野
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを実現する手段の一つが、二酸化炭素の排出権取引だ。森林の二酸化炭素吸収量を算出するための測定に使用する。 - 農業分野
人手不足が深刻化する農業分野で、一度に長時間飛行できるメリットを生かし、田畑をより広い範囲で測量することで、農作業の効率化できる。