[Drone Design]Vol.11 配達ドローンは見た目も大事?

2019-11-25 掲載

宅配スタッフの人材不足と人件費高騰は日本のみならず世界中で大きな問題になっています。各企業がドローンの活用に力を入れるなか、ドラッグストアのWalgreensと世界最大の航空貨物輸送会社のFedEX EXPRESSが協力し、バージニア州のクリスチャンバーグの居住者向けにドローン宅配サービスを開始したことが話題になっています。

ドローンを運用するのはGoogleの持ち株会社アルファベットが所有する関連会社「Wing Aviation」(以下、Wing)で、1年以上前からオーストラリアやフィンランドで家庭向けにエンドツーエンドのドローン宅配サービスを提供するテストを行ってきました。今回開始したサービスはFAA(米国連邦航空局)から正式に承認を受けており、世界初のドローン宅配サービスになるというわけです。

家までドローンが荷物を届けてくれる!

面白いのはドローンの配達方法です。プロモーション動画によると、ユーザーが専用アプリで商品を購入すると、駐車場らしき場所にあるコンテナ式の宅配オフィスに届けられ、そこでスタッフがハンドルの付いた専用パッケージがに商品を詰め込みます。すると上空にドローンがやってきて、下ろしてきたフックにパッケージをひっかけるとするするとフックを持ち上げ、ドローンに固定するとそのまま目的地へ飛んでいくというもの。お届けの時にもドローンは上空に静止したままで、一切地上に降りることはありません。

これまでの宅配ドローンは集荷と配達を自動で行うため専用のセンターを造ったり、ドローンのペイロード部分を工夫したり、集配用のケースも頑丈そうなコンテナ型にしたり、というサンダーバード2号のように仰々しいパターンばかり見ていただけに、こんな方法でいいんだと拍子抜けするほどの簡単さです。

そして何といっても使用する宅配用パッケージを自在にデザインできるというところが素晴らしい。ハンドバッグタイプから書類ケースタイプまで色も形もデザインもいろいろあって、おそらくそのパッケージで宅配料金が設定されているのでしょう。段ボールボックスと違って軽くてそのままリユースもリサイクルしやすそうです。

パッケージはFeDXがデザイン

Wingのサイトを見るとサービスは誰でもどこでも利用できるようで、もう一つのプロモーション動画では、マウンテンバイクを楽しんでいる時に転んでケガをしたユーザーがアプリを使って救急キットをオーダーすると、ドローンが転倒したところまで配達してくれる、というシチュエーションが紹介されています。

バージニア州のサービスに使用するパッケージはFedEX EXPRESSがデザインしたとのことですが、ハンドルが付いてドローンに固定できて2kgまでの重量制限に対応できればどんなデザインにもできそうですし、雨や雪の時には防水にしたり、場合によってはもう少し頑丈なパッケージも登場するかもしれません。そして、ドローン宅配のスタイルにあわせた新しいドローンがさらに開発される可能性もあります(ちなみに初期テストではVTOL型のドローンが使われていました)。

この柔軟性がWingの魅力であり、むしろこうしたトライ&エラーでアジャイルにサービスを開発するのはGoogleが得意とするところなので、今後もいろいろ新しい展開があるかもしれません。たとえば個人や企業の間で荷物を運ぶのに使うなども考えられます。WingはすでにオーストラリアのCASAと開発した専用アプリ「OpenSky」も開発しているので、今のところはオーストラリア限定ですが、テストが進めば他の地域でも使われるでしょうし、その際にパッケージデザインも選べるオプションなども提供されるかもしれません。

Wingの専用アプリ「OpenSky」はオーストラリア限定で公開中

米国では国際輸送サービスのUPSもドローン配達を行っていますが、対象は医療品に限定されています。Amazonはかなり以前から宅配専用ドローンを開発していますし、それぞれにサービスを棲み分けしつつ、ドローン宅配市場を拡大していきそうです。それにしても空からプレゼントを届けてくれるなんて、これからのクリスマスシーズンにWingはひっぱりだこになるかもしれませんね。

▶︎Wing

WRITER PROFILE

野々下裕子
フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos
[Writer:野々下裕子]
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