ドローン点検スペシャリストは、マンション点検・調査におけるドローンの安全飛行技能を有する操縦者の育成を目的とした資格。今回はその第一弾として、「ドローン点検スペシャリスト」の内、「マンション外壁編」が始動した。
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現場の深刻な声とドローン需要の高まり
近年、ドローンへの期待は各産業分野で高まりを見せている。とりわけマンションなどの建物点検分野では、以下のような期待がされているという。
- 外壁目視点検が困難な高層建物や大型建物の点検
- 点検費用や点検業務工数の削減
- データ(赤外線画像など)に基づいた客観的な点検結果の提供
2022年12月にはドローン操縦士の国家ライセンス制度がスタートし、有資格者の数も順調に増加している。しかし実際の現場では、「資格保有者はいても、即戦力のパイロットがいない」という声が多く寄せられている。その要因として、ドローン資格を保有していても、実際の点検現場で求められる操縦スキルや運用知識が不足している現状があり、ここに需要と供給のミスマッチが生じているためであるという。
この“スキルと現場ニーズのギャップ”こそが、ドローン活用が産業レベルで進まない大きな壁だという。この課題を根本から解決するために、各分野のトップランナーが連携した。
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ドローン点検スペシャリスト
日本のドローン業界を牽引するパイオニアであるJUIDA、業界トップクラスの実績を有する総合不動産管理会社「東急コミュニティー」、ドローンスクール年間受講者数No.1だというハミングバードという3者が、それぞれの強みを活かし、実践力のあるドローン操縦者を育成する新資格「ドローン点検スペシャリスト」を創設した。講座名は「ドローン点検スペシャリスト育成コース<マンション外壁編>」だ。

JUIDA・東急コミュニティーがカリキュラムを監修、ハミングバードが教育を担当し、東急コミュニティーの現場をはじめとする、マンションなどの住居を中心とした建物調査で即戦力として活躍できる人材を育成する。この資格の最大の特徴は、資格取得後の活躍の場を見据えることで、マンションの点検現場で直ちに活躍できることを目指している点だ。
講座詳細は6月に発表予定
本資格に関する講座内容・費用・開催概要等の詳細は、2025年6月4日(水)~6日(金)幕張メッセで開催される「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025}にて紹介するという。
2025年6月4日(水)、オープンステージ(展示会場内)にて記者発表が行われる(13:40~14:00)。当日は3者による共同記者発表を実施予定。
各社代表コメント
一般社団法人日本UAS産業振興協議会/JUIDA理事長 鈴木真二氏
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鈴木氏:JUIDAは、無人航空機産業の健全な発展に貢献することを目的に、設立以来、ドローン運用に必要な技能や知識を備えた人材の育成、規則や基準の策定、安全性向上のための研究開発に取り組んできました。今後は特に、「実務に強い人材の育成」と、「育成した人材が活躍できる場づくり」に力を入れてまいります。
教育だけにとどまらず、業界全体の雇用機会の拡大や新たな職域の開拓を進めることで、ドローン人材の成長と社会実装の両輪を回していきます。
こうした取り組みを通じて、安全・安心なドローン運用の実現、国内需要の拡大、そして無人航空機の社会実装を着実に推進してまいります。
株式会社東急コミュニティー 執行役員 リフォーム事業部事業統括部長 生田友昭氏
生田氏:東急コミュニティーでは管理させて頂いているスタジアムにて、2016年にドローン点検を導入したことがドローン活用の出発点となりました。2020年には、足場が必要な高所部分の点検におけるコストと工期を抑えるために、マンションでドローンと赤外線調査を導入し、さらに、高い操縦技能を持つパイロットを育成するため、2022年には「東急コミュニティー技術センターNOTIA」にて建物調査に特化したドローン操縦技能の教育を行う「TCBIドローンスクール」を開校しました。
国家資格の実装に伴い、今後はパートナー企業・団体とも連携し、お客さまにとって、安心・安全、快適なマンションライフをお過ごしいただくために、ドローンなどの先進技術を積極的に取り入れながら、生活環境と資産価値向上に貢献してまいります。
株式会社ハミングバード 代表取締役社長 鈴木伸彦氏
鈴木氏:株式会社ハミングバードは、ドローンスクール東京グループの屋号のもと、お台場、新宿、渋谷、横浜に直営校4校、全国に提携校7校と、計11校展開しています。2022年12月の無人航空機技能証明制度開始以来、グループ全体で約2000名の方に二等講習を修了して頂きました。国土交通省によるドローン操縦士技能の制度化により、操縦技術や知識の均一化は徐々に図れてきているものの、無人航空機技能証明取得後の「出口」が業界として提示できていないと感じていました。
また、その理由の一つとして、無人航空機技能証明取得者が取得した技術・知識と実際のドローンの業務を発注する側が求める技術・知識にギャップがあるということもわかってきました。そこで、この状況に同様に危機感を感じていたJUIDA、東急コミュニティーにお声かけさせていただき、「ドローン点検スペシャリスト」の創設と、その育成を担う「ドローン点検スペシャリスト育成コース」を開設することとしました。今回はその第一弾として「マンション外壁編」をリリースいたします。
都心部のドローンの利活用で最もニーズの高い一つである「ドローンによるマンション外壁調査」の技術・知識を二日間の講習で得ていただき、先ほどのギャップの解消と、マンション外壁調査でのドローンの活用を進めたいと考えています。そしてこの「ドローン点検スペシャリスト」制度をきっかけに社会の求めるドローン操縦士を輩出し「ドローンが仕事になる」から「ドローンで仕事をする」ことが当たり前の社会づくりに貢献してまいります。