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[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.06 2016年はドローン活用飛躍の年!

[春原久徳のドローントレンドウォッチング]Vol.06 2016年はドローン活用飛躍の年!

2015年は首相官邸へのドローン落下により、急速にドローンの存在が広まり、その後、事件や先進的な事例といったものが入り乱れ、12月10日には、ドローンといった無人航空機を対象にした改正航空法が施行され、まさに「ドローン元年」といった形の1年でした。

2016年は、業務用のドローンの活用が飛躍的に伸長する年であると予感されます。様々な分野において、その予兆は見え始めていますが、その中でも、一番強い動きの一つは、国土交通省が推し進める「i-Construction」であると思います。

「i-Construction」

石井啓一国土交通大臣は、2015年11月24日の記者会見で「建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる全プロセスにおいて、情報化を前提とした新基準を来年度より導入する」と語り、この取り組みを「i-Construction」と名付けました。

この「i-Construction」は、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と言われる計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入し、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルに連携・発展させ、あわせて事業全体にわたる関係者間で情報を共有することにより、一連の生産システムの効率化・高度化を図るもので、また、3次元モデルは、各段階で追加・充実され、維持管理での効率的な活用を図っていくものです。

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国交省資料

今までも建築分野ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)という形で、3次元モデルの活用は推進されてきましたが、土木分野では建築分野に比べると施工手順が建築ほど複雑ではなかったということもあり、3次元モデルの活用が進んでこなかったという背景があります。

土木現場の課題

現在、土木建設現場には、以下のような課題があります。

  • 労働力過剰を背景とした生産性の低迷
  • 生産性向上が遅れている土工等の建設現場
  • 依然として多い建設現場の労働災害
  • 予想される労働力不足

特に労働力不足に関しては、技能労働者約340万人のうち、今後10年間で約110万人の高齢者が離職の可能性があり、また、若年者の入職が少ない(29歳以下は全体の約1割)といった問題が出てきており、その対策が急務となってきています。

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国交省資料

KOMATSUの「スマートコンストラクション」

そんな課題に対して、大きなヒントを与えたのは、日本でのドローン活用先進企業であるKOMATSUの事例です。KOMATSUは「スマートコンストラクション」という取り組みで、ドローンによる測量を行い、その測量データを使い、施工計画を作成し、その計画したデータをICT建設機械に送信しし施工を行うといった形で、大幅な生産性の向上と、また初心者でも安全に熟練技巧の実施が可能になるといったことを実現しています。

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国交省資料

「ICT技術の全面的な活用」

国交省は前述した現在抱えている課題の解決を実現するために、このKOMATSUの事例を最大限参考にして「i-Construction」というフレームワークを提示し、ICT技術を土工の現場に最大限活用していくことを宣言しました。

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国交省資料

この活用に向けて、以下のような課題が現状あります。

  • 測量・設計・施工・検査において、ICTを活用するための3次元データを前提とした基準が未整備
  • ICT建機の普及が不十分

その他

  • ICTに習熟していない技能労働者などに対しては、ICTに関する訓練・教育とともに、ICTに関するサポート機関などが必要
  • 受発注者において、ICTの導入メリットが十分共有されていない

そういった課題に対して、以下のような取組み方針およびタイムラインが引かれています。

■平成27年度末まで

新基準の整備

  • 土木工事施工管理基準(案)
  • UAVによる測量方法を定めたマニュアル
  • 3次元データを前提とした製図基準
  • 3次元データを前提とした管理・検査基準

■平成28年から

  • 新基準(土木工事施工管理基準(案) など)の導入
  • ICTの導入が遅れている企業の導入初期(関連機器、技術者育成など)に係る支援
  • i-Constructionの推進

このスケジュールから見るとおり、この2016年3月までに、新基準が整備され、新年度に当たるこの4月より、「i-Construction」が推進されていく形になっています。将来は全てのプロセスで「i-Construction」が標準化されるということで、まさに活用飛躍の年に相応しい内容になっているのです。こういった活動を通じ、社会課題を解決し、以下を目指すものになっています。

  • 一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
  • 建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど、魅力ある建設現場へ
  • 建設現場での死亡事故ゼロに
  • 「きつい、危険、きたない」から「給与、休暇、希望」を目指して

ドローンの活用

この「i-Construction」の一番大切なポイントは3次元モデルの活用にあり、その基礎になっていくのは、3次元測量にあります。その3次元測量に関して、ドローンが活躍していきます。いわば、この「i-Construction」はドローンが活用されることで始まっていきます。

ドローンによる3次元測量の手順

■航行計画(オーバーラップ率を考え、計画を行う)

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■自動航行ソフトの設定(飛行に関しては、正確性保持のため、自動航行ソフトを使うのが一般的です)

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■自動航行・空撮

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■3次元モデリングソフトによる点群データ処理

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■3次元モデリングソフトによるオルソモザイク処理

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■3次元モデリングソフトによる測量

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こういったプロセスを経て作成された3次元データが連携されて、活用されていくのです。

今回は、建設土木の現場でのドローン活用の事例を示しましたが、こういった形で様々な業務分野で、2016年はドローンの活用が進んでいきます。まさにドローン活用飛躍の年となるでしょう。

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