DRONE

Vol.55 DJI Air 2S飛行編〜オールインワンこそ正義だ![Reviews]

Vol.55 DJI Air 2S飛行編〜オールインワンこそ正義だ![Reviews]

高画質な1インチセンサー搭載の小型ドローンとしてバージョンアップしたDJI Air 2S。普段はMavic 2 Proを使うことが多い筆者としては、この小型機がどんな使い方ができるのか知りたい衝動がおさえきれず、晴天の屋外でさっそく飛ばしてきましたのでレポートいたします。

機敏な動きはMavic 2 Pro以上!ただしNDフィルターは必須アイテム

関係各所に連絡・調整の上で撮影しています

基本的に解像度を「5.4K」に設定して撮影してみました。撮影された映像を見ての印象は画素数どうこうというよりも、1インチセンサーによるノイズの少ないクリアな映像がとても好印象。

そしてなにより、フライトしていてストレスの少ない機敏な動きが個人的には最高でした!旧Air 2では12m/s程度(Nモード)しか出ない水平飛行速度ですが、Air 2Sでは現地で15m/sを実測!ほぼ同環境でフライトしたMavic 2 Proでも14m/s(Pモード)くらいでした。

さらに垂直飛行速度はカタログ通り6m/s(Mavic 2 Proは4m/s ※Pモード)。DJI FPVをレビューしていて気づいたのですが、垂直飛行速度が速いと変化がある映像を撮りやすくなります(高度を変えやすいので)。Air 2SはMavic系の機体であった動きのモッサリ感がなく、フライトしていてとても楽しい機体でした。

DJI Air 2S

ただ、カメラの絞り変更機能(F値)がないので画面の明るさ調整がシャッタースピードに依存しがちになります。画面が明るすぎるからといってシャッタースピードを速めて光量を落とすとパラパラとした動きやギザギザの画質になってしまうため、NDフィルター(カメラのサングラスのようなもの)を使って画面の明るさを調整したほうがベターです。Fly Moreコンボには付属しています(単品購入時は別売)ので、忘れずに持っていきましょう。

DJI Air 2S
当日は雲の少ない快晴だったためNDフィルターは16か32(数値が大きいほうが暗い)を選択した

Mavic 2 Proと比較(動画/写真)

Mavic 2 Proユーザーの筆者としてはAir 2SのMavic 2 Proの映像比較がどうしてもやりたかった。カメラはオート設定、解像度はMavic 2 Proは4K、Air 2Sは5.4Kで撮影し、機体はバックのみしています。ともに1インチセンサーを搭載した両機ですが、Mavic 2 Proは画角が少し狭め(35mm判換算で28mm/約77°)、Air 2Sのほうが広め(35mm判換算で22mm/88°)という違いがあります(Mavic 2 Proは絞り変更機能がありますがオート設定撮影なのでここではスルーします)。

見ての通り、同じ1インチサイズのセンサーを搭載しているだけあってクリアな映像は両方ともキモチいいくらいです。各機種レビューの経験上、Mavic 2 ZoomやMini 2などと比較すると影の黒い部分がつぶれてしまうことが多いのですが、そういったこともありません。画角の広さの違いは、今回の被写体が広い景色のせいか撮影中それほど感じたことはありませんでした。厳密に飛行ルート(被写体との距離)を同じにすれば変わると思われます。

ちなみに、写真も比較するとこちらもほぼ同等。画角の違いやオート設定の差異もあると思いますが、若干Mavic 2 Proの写真がコントラストが強く"キレイ"に見えますかね。でも、どちらも空の青のグラデーションがなめらかで美しい…。

https://www.drone.jp/wpdronenews/wp-content/uploads/2021/04/DJI_Air2s_02_05.jpg
※画像をクリックすると拡大します

多彩な自動撮影モードがスゴイ!新機能マスターショットも搭載

Air 2Sの魅力は高画質だけが売りではない!と思ったのが充実した自動撮影・編集機能です。これまでも「ロケット(カメラ真俯瞰⇒垂直上昇)」や「ドローニー(被写体のアップからバック&上昇で景色全体を映す)」などを実行する「クイックショット」はありましたが、今回はさらに進化して予めプログラムされた10種類の飛行パターンを実行⇒短編動画の編集まで自動で行う「マスターショット」が搭載されました。

「ポートレート」「近距離」「ランドスケープ」の3つの撮影・編集プログラムが用意されているのですが、今回は景色が主役のロケーションだったので相性が良さそうな「ランドスケープ」で作成しました。作成と言っても、被写体を画面上で選択し、スタートボタンをタップするだけです。

見ての通り、機体の動きもチルトやズームのカメラ操作も編集もすべてAir 2Sが自動で行います!ふだん、ほとんど自分で撮影する筆者にとってAir 2Sにすべてを任せるのは不安でしたが、実行後機体を見ていると熟練パイロットのようにAir 2Sがつぎつぎにカットを撮影していくではありませんか。撮影時間は約2分、動画は30秒にまとめてくれました。

ただし、優秀な機能とはいえ、安全管理は我ら人間側の責任です。飛行は障害物のない高度で空域を設定し、アプリ実行後も機体から目を離さず、いつでも停止ボタンをタップできる状態にしていてください。

本格的な映像表現にも使えるD-Log/HLG撮影ができてしまうAir 2S

映像こだわり派にうれしい旧Air 2ではできなかったLog撮影がAir 2Sではできるようになっています。通常の撮影形式(8bit)よりも情報量が多い(10bit)D-LogM(ディーログ・エム)形式で撮影した映像データは、より深みのある色表現が可能になっています。

オーバーに例えると、光の色が白一色ではなく、影の色が黒一色ではなく、光や影の中にさまざまな色が表現されるようなイメージです。ただ、収録時にはフラットな色合いになっていますので、表現したいテーマに合わせた色補正(カラーグレーディング)が必須になります。また、10bitの情報量を保ちつつ簡易的に色再現されたHLG形式での収録も可能ですので、目的・用途に応じた撮影ができそうです。

https://www.drone.jp/wpdronenews/wp-content/uploads/2021/04/DJI_Air2s_02_06.jpg
D-LogMで撮影しただけ(左)では淡い平坦な色あいだがカラーグレーディングする(右)ことで通常撮影以上の色の深みが出せる。今回は海賊映画をイメージしてカラーグレーディングした
※画像をクリックすると拡大します
https://www.drone.jp/wpdronenews/wp-content/uploads/2021/04/DJI_Air2s_02_07.jpg
HLGでは10bit収録しつつ色再現も自動化。少し彩度が高い味付けのよう
※画像をクリックすると拡大します

Log撮影データのカラーグレーディング比較。後半にHLGの映像も収録

まだまだあるギミック撮影!スマートコントローラー接続も可能

主な機能を紹介してきましたが、Air 2Sはまだまだいろいろな撮り方ができるドローン。最大8倍(1080p/30fps)までのデジタルズーム機能(4K/30fpsでも4倍!さらに画面上のダイヤルを操作することで無段階ズームも可能!)や、被写体を追尾する「アクティブトラック4.0」、DJIドローンでおなじみの180°広角撮影など、同じ被写体を撮影してもさまざまな手法で楽しむことができます。

個人的に移動しながらタイムラプスが撮れる「ハイパーラプス」はいろいろと使ってみたくなります。サンプル的に撮ってみましたが、高度が高すぎて3m/sで前進しているにも関わらずあまり画角が変わりませんでした(苦笑)。このあたりは適正なロケーション選び、高度・速度の設定にコツがありそうですね。

https://www.drone.jp/wpdronenews/wp-content/uploads/2021/04/DJI_Air2s_02_08.jpg
「広角」モード。22mmのレンズもすでに広角だがさらに広角な写真が撮れる
※画像をクリックすると拡大します
https://www.drone.jp/wpdronenews/wp-content/uploads/2021/04/DJI_Air2s_02_09.jpg
さらに画角が広い「180°」モード
※画像をクリックすると拡大します

ハイパーラプスは変化が大きい設定をつくることがコツ。一応前進しているのだがわかりにくい…

また、高輝度モニター一体型の「スマート送信機(スマートコントローラー)」にも対応。スマート送信機は、日中の炎天下でも見やすい高輝度モニターだけでなく、機体登録が複数できたり映像をHDMI出力できたりとヘビーユーザーにはうれしいツール。Air 2Sとスマート送信機の組み合わせはある意味最強かもしれません。

DJI Air 2S
スマート送信機の機体登録画面。ファームアップデートが提供されAir 2Sに対応した
DJI Air 2S
無事リンク完了!スマート送信機の鮮明な高輝度モニターを見ながら撮影できる

Air 2Sがあればなんでもできてしまう!撮影がさらに楽しくなるドローン

Air 2Sで実際にフライト・撮影してみて感じたことは、今までのMavicシリーズの楽しみ方をこの1機に集約したようなドローン…ということです。コンパクトな機体に1インチセンサーの高画質、ズーム機能や自動撮影機能、ストレスのない機敏なフライトに障害物検知センサー等による安全性。

どの機体を選ぼうか…と悩んでいた機能の選択がAir 2Sには必要ありません。そしてその結果、自分らしく撮影を楽しむことができ、旅先のロケーションや被写体の魅力をいろいろな角度から感じることができる体験をも提供してくれます。

一方、空撮仕事のツールとして使うと考えた場合、筆者としてはどうしても引っかかる小さな唯一の不満点「絞りの固定設定」というところをどう考えるか次第。暗いND32フィルターを軸にシャッタースピードで明るさを微調整するという方法で今回は対応したのですが、この利用法で問題なければ仕事でも十分使えるツールになったのではないでしょうか。

1機ですべてをこなすことができるAir 2Sは、間違いなく今年のコンパクト空撮ドローンの主役になることでしょう。

Writer : 田口厚

株式会社Dron é motion(ドローンエモーション)代表。観光PR空撮動画制作、ドローンの活用をテーマにした講習等の企画・ドローン操縦士スクール講師、ドローン導入支援等も行う。JUIDA認定講師。DJIインストラクター。

Return Top