VFRは2021年10月26日、世の中におけるドローンの認知向上と正しい理解促進に向けた「Hello DRONE Project」を発足することを発表した。今後は、産業用ドローンの開発、製造、販売を主軸としながらも、ToA、ToB、ToCの3つの独自事業の確立と推進を図ることで、国内ドローン市場の拡大を目指すという。
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当日は、VFRがToC事業で手がける「Hello DRONE Project」の第1弾施策の実施内容が、明らかになった。同時に、VFRが企画、販売する新製品トイドローン「VFree-T01」をお披露目。まずは、那須ハイランドパークいおいて「VFree-T01」を活用した新たなアトラクションサービスを提供する予定だ。
ちなみにToAは、2021年2月にACSLやセンシンロボティクスらと発表した「Take Off Anywhereプロジェクト」を核とする、国産ドローンの社会実装を目指す事業。物流機体や、ドローン付き車両の開発も、複数社と進めているという。
ToBは、まだオフィシャルには公開していないが、IMUが超小型基盤で一体化されたフライトコントローラーモジュールや、長距離伝送モジュールなどを、小型ドローン向けとしてはもちろん、多様なドローン、ロボット向けにも開発を進めているという。
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このようななか、コンシューマー向けであるToC事業では、ミレニアル世代やZ世代などのいわゆる若年層をメインターゲットとして、製品やサービスを開発する。若年層の購買力に着眼したほか、ドローンをビジネス活用する人材や可能性の裾野を広げるためのきっかけを、次世代を担う世代である消費者とともに見出していくことで、最終的には主軸事業である産業用ドローンの開発、製造、販売を拡大する好循環を創出することを狙う。
こちらが、今回発表された新製品トイドローン「VFree-T01」。機体重量は21.8g。バッテリー3個付きで、バッテリー1個あたりの最大飛行時間は約7分。バッテリー3個で21分の飛行が可能だ。さらに、バッテリーの充電はUSBで、1個あたり6〜7分で完了するため、飛行中に充電して繰り返し練習できるのが特徴。プロポと機体のリンクも簡単にしたという。ホバリングや、3段階の速度調整、フリップ機能もあり、ビギナー機種として人気が出そうだ。
ただし、機体単体での一般販売は、現在のところ未定とのこと。「VFree-T01」を使ったイベントでの販売は検討の余地がありそうだが、小売販売はいまのところ視野に入れていないという。主には、ドローンを使った教育サービス、イベント、産業機を活用する前段のトレーニングツールとして使用する予定で、今後はカメラもついていない大変シンプルな「VFree-T01」以外にも、コンシューマー向けの新機体を開発する予定だ。
「VFree-T01」のシンプルさについて、VFR代表取締役の湯浅浩一郎氏は、「ミニ四駆の世界をドローンでやれないかと考えている」と話し、いまこそドローンのマジョリティへの浸透が求められていることを示唆した。
そこで、「Hello DRONE Project」では、藤和那須リゾートが運営する那須ハイランドパークにおいて、「VFree-T01」を使ったアトラクションを企画、11月2日よりイベントを開始する。
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その名も「ハチャメチャドローン探検隊」。3つのゾーンをドローンが飛行して、ミッションをクリアするとお宝をゲットできるというストーリーだ。1つめのゾーンは「宇宙」。宇宙に行った探検隊をドローンが救助するため、輪っか潜りをクリアしなければならない。2つめのゾーンは、恐竜のいる惑星で恐竜を倒すというミッション。機体をバルーンに当てると、恐竜に見立てたバルーンを倒せる。3つめのゾーンは、洞窟に見立てた連続フープ潜り。これを抜けるとゴールということで、お宝の特製クッキーをもらえるという。
参照:ドローン探検隊
これに先駆けて、若年層へのタッチポイントとしてYouTubeチャンネル「ドローン探検隊」もオープンした。ここでは、ドローンを使った映像配信と、ドローンメーカーの社長など、ドローン産業のさまざまな事業者のインタビューや対談なども公開していく予定とのことで、次世代のドローン人材育成や、啓蒙活動に本腰を入れていく姿勢が窺える。
また、那須ハイランドパークでのアトラクションでは、bravesoftが提供するイベントプラットフォーム「eVentos(イベントス)」を活用。スタンプラリーなど、さまざまな機能を有するebentosアプリをドローン体験と連動していくことで、一過性のものからより記憶に残る体験へと、エンゲージメント向上を図る。
今回は、地域課題の解決に向けて、地域とドローンとの"コラボ"に踏み出した藤和那須リゾート常務取締役の五十嵐弘樹氏や、100個の新産業創出を目指してフライングロボティクス産業の立ち上げを推進するSUNDRED代表取締役の留目真伸氏や、ebentos を提供するbravesoft代表取締役CEOの菅澤英司氏も発表会に駆けつけ、まさに異業種コラボの「オープンイノベーション2.0時代の新しい価値創造」(留目氏談)を体現していることを印象付けた。
さらに、オフィシャルには未公表だが、那須を実証実験の場として活用していくプロジェクトを開始しているとのことで、「NasuconValley(ナスコンバレー)」の今後の進展も気になるところだ。