今やアジア最大ITテクノロジーイベントとなった「COMPUTEX TAIPEI」が6月4日から4日間、台北市の南港展覧館で開催されました。昨年より展示フロアが拡大し、出展者数は約1.5倍、来場者数はほぼ倍に近くなり、連日入場制限がされるほどの盛況ぶりでした。
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盛り上がりの背景にあるのは、テーマにもなっている「connecting AI(主催者による日本語テーマ:AIとつながり 未来を共創)」です。ご存知のとおり台湾は、AIコンピューティングを支える半導体とコンピュータ産業が数多く集まり、サーバーからネットワーク、パソコン、その周辺機器まで様々な製品の製造拠点でもあります。生成AI(主にChatGPT)の登場によって一気に拡がったAIブームの影響により、世界の注目が台湾に集まるようになり、そのことは今年の基調講演に大手半導体メーカーのCEOが連日競うように登壇したことからも伺えます。
AIはドローンにも搭載されており、自律飛行や衝突防止、危機回避などの機能を実現するのに使われています。NVIDIAやQualcommが開発するチップを搭載した製品が実用化され、今後ますます活用が拡がるとも見られています。今年のCOMPUTEXもドローン関連の出展はそれほど多くありませんでしたが、そのほとんどがAIドローンに関するものでした。
台湾の財団法人工業技術研究院(ITRI)のブースでは活用事例が紹介されており、その内容は、AI搭載のeVTOLで空から魚群を探知するというものでした。通常の3倍の効果が得られ、なおかつ環境にもやさしく、船からドローンを飛ばして指定したルートを飛行させた後は、網でキャッチするか陸上に着陸させて、繰り返し何度も使えるとしています。運用するための専用システムがあわせて開発されており、現在は実用化に向けた試験が行われているようです。
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台湾のドローンメーカーAiSeed社は、エッジAIを搭載した自律飛行型の高度なセキュリティ機能を持つeVTOL機「A03」などの機体を複数開発しており、偵察や防衛の目的で活用できる"台湾製ドローン"であることをアピールしています。
ドローンの製造ではサプライチェーンを中国から台湾に移す動きが少しずつ始まっており、台湾もこれから重要産業として力を入れているといった報道もあります。そうした台湾市場向けに機体やシステムを提案する海外からの出展が複数ありました。
例えば、マレーシアの航空宇宙技術開発企業Alphaswift社は、水素を使うハイブリッドドローンをはじめ、宅配用、農業用、さらに固定翼機まで幅広くリリースしており、AIドローンの開発で台湾と連携するために出展したと見られます。
他にも、地理空間サービスを提供するインドのスタートアップGarudalytics社は、GeoAIと呼ぶ技術で建築物やインフラ検査、農業でのドローン活用を適切に行えるシステム開発を得意としており、台湾市場で成長を目指して出展したとのことでした。
ここで紹介した以外にもドローンを置いているブースはいくつかありましたが、それらはロボティクス技術の延長としてドローンの運用も行っている、あるいは、ドローンに搭載されるカメラの開発を行っているというものでした。
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いずれにしても出展者の話で共通していたのは、AIを搭載したドローンの製造開発と運用がこれからますます拡がるのはまちがいなく、いち早く市場への参入を進めたいという声でした。台湾がドローン分野でもAI活用で成長していこうとしていることが感じられ、今後の動きにさらに注目しておきたいところです。