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Vol.26 空飛ぶ救助犬?!見つける才能を高めるドローンたち[Drone Design]

Vol.26 空飛ぶ救助犬?!見つける才能を高めるドローンたち[Drone Design]

Appleが"見つける天才。"と呼ぶAirTagが話題になっていますが、探す機能ではドローンも負けず劣らず性能を高めていて、いろいろな技術が登場しています。

無線機オーディオペイロード

オーディオペイロード
ドローンを通じて双方向で会話ができる"オーディオペイロード"

ドローンは広い範囲をすばやくカバーできることから、捜索救助活動の重要なツールとして以前から利用されていました。主な使い方としては、上空からカメラもしくは赤外線探知などを使って探索していましたが、深い森の中や遭難者の体温が下がっている場合は見つけにくいという課題がありました。そこでもう一つの探索手段として開発されたのが、地上にいる人とドローンのオペレーターが双方向で会話できる無線機"オーディオペイロード"です。

ニュージーランドのDotterel Technologies社は、以前からノイズが少ないドローンを開発する技術で注目を集めていました。新たに開発されたオーディオペイロードは、独自のノイズリダクション機能を備えた高指向性マイクアレイをドローンに搭載でき、飛行ノイズやその他のノイズを除去しながら遭難者の声をキャプチャできます。

ドローンから長く伸びたマイクは遭難者からケガの状況を確認したり、逆にオペレータから救助活動を説明したりすることで、救助効率を高めます。また、動画撮影で空中から音声が拾えるので、映像制作会社でも利用されているようです。

NEC Laboratories Europe「SARDO」

では、遭難者が声を出せない場合はどうするか?そうした状況での活躍が期待されているのがNEC Laboratories Europeが開発中のプロトタイプ技術「SARDO(Search-And-Rescue DrOne)」です。

SARDOの探索画面
SARDOの探索画面
NEC Search-And-Rescue DrOne (SARDO) prototype (PRNewsfoto/NEC Laboratories Europe GmbH)

遭難時に携帯電話やスマホを使って助けを呼ぶというのは今やめずらしくありませんが、通信が届かないような場所で遭難したり、災害でインフラが故障してしまった場合、モバイルセルラー基地局の機能を組み込んだ自律型ドローンのSARDOが代わりにスマホの位置を識別し、近くを飛行することで救助活動を支援します。

SARDOはマシンラーニングを使用して遭難者が移動してもデバイスの位置を計算できるという特徴を備えています。また、単体で機能するので誰でも数分で使用でき、遭難救助に使える性能を持つドローンであれば商用であっても搭載可能ということです。技術としては大規模災害でインフラが使えない場合が想定されていますが、小さな空飛ぶ基地局として他にも用途が考えられそうです。

「Revector Detector Drone」

ドローンに搭載されたRDD
ドローンに搭載されたRDD

同じく被害者の携帯電話が基地局に接続できるようにするテクノロジーとしてすでに発売されているのが、「Revector Detector Drone(RDD)」です。テレコムコンサルティングサービスとして英国で設立されたRevector社は、モバイルネットワークのセキュリティ技術などを開発し、世界100カ国以上でサービスを展開しています。

ドローン向けの技術RDDはプラットフォームとして利用され、山岳救助では3000回以上出動した実績を持っています。同社が開発したシステムは重さわずか5キログラムと軽量で、既存のドローンに搭載することで10キロのエリアを最大90分間監視でき、20メートルのエリア内で携帯電話の位置を正確に識別します。

Thales「Prometheus」

さらにドローンの探索活動範囲を広げるために、地底やトンネル内を探索できる技術の研究開発プロジェクトも進行中です。センサーと電子設計の専門知識を持ち企業や研究所らと幅広いパートナー関係にあるThales社は、自律飛行とLidarセンサーを組み合わせて、GPSが届かないエリアを探索できる小型ドローンを開発する「Prometheus」というプロジェクトを複数の大学が参加するコンソーシアムによって進められています。

プロジェクトは2年間で220万ポンド(約3億3000万円)の資金をかけて進められており、建設、マイニング、捜索救助の分野でも対応できるアプリケーションの開発も計画されています。

3Dマッピングのイメージ画像
3Dマッピングのイメージ画像

まずは、洞窟や廃坑、下水道などカメラ撮影など視界が届かない場所を安全で正確に探査ができる3Dマップを作成する、高度なセンサーとオンボード処理能力による高度なアルゴリズムを搭載したシステムを開発。直径150mmと小型軽量なドローンは狭い場所でも飛行できるよう設計されており、調査範囲とバッテリー寿命を最大化しています。

使用するのも無人で、ドッキングポートから自動で起動して任務が完了すると戻る仕組みになっています。耐久性にも優れていて、古い鉱山の近くを走る英国の鉄道インフラの安全性を確かめる調査ですでに使用されているそうです。

Marine Advanced Robotics「WAM-Vシリーズ」

ドローンを探索に使用するフィールドは水上にも広がっています。

自律型水上艇のWAM-Vシリーズ
自律型水上艇のWAM-Vシリーズ

Marine Advanced Robotics社が開発する自律型水上艇のWAM-V(Wave Adaptive Modular Vessel)シリーズは、プロペラが付いた2つのエンジンポッドを独自のサスペンション技術でコントロールすることで、海上を安定して航行することができる自律型の探索艇です。

サイズは8フィート(約2.4メートル)から33フィート(約10メートル)まであり、センサーやカメラを搭載することで海上探索や海洋環境の定点観測にも使用できます。

単体で救命艇としても使えそうですが、デモ動画ではドローンの海上プラットフォームとして使用し、空中はもちろんのこと有線でコントロールできる水中ドローンと組み合わせて、あらゆる場所から探索可能なツールとし紹介されています。

WAM-Vシリーズもふくめ、探索機能を持つドローンの多くはもともと軍事用として技術が開発されていますが、今回紹介したドローンのように、これからはもっと人命救助などへ積極的に活用する方向へと進んでほしいものです。

Writer : 野々下裕子

フリーランスジャーナリストとしてデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体は「@DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」「マイコミニュース」など多数。現在のドローンをはじめ、モビリティ、ウェアラブル、XR、AI、デジタルヘルス、スタートアップビジネスの世界的動向などのジャンルに注目している。神戸在住。Twitter:@younos

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