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ACSL×エアロネクスト「ライセンス契約」からはじまる未来を語る

ACSL×エアロネクスト「ライセンス契約」からはじまる未来を語る

株式会社自律制御システム研究所(以下:ACSL)と株式会社エアロネクストは、2020年8月31日に機体構造設計技術4D GRAVITYを搭載した産業用ドローンの共同開発契約と、量産した機体の製造・販売に関するライセンス契約を締結したことを発表した。物流領域に特化した専用機の開発を進め、ともにドローン物流市場の立ち上げおよび拡大に挑むという。

両社は、昨年10月4日に、4D GRAVITYを搭載した産業用ドローンの新機体開発に着手したことを発表しており、今回の契約締結は両社にとって大きなマイルストーンとなる。その狙いと今後の展望について、ACSL代表取締役社長兼COOの鷲谷聡之氏と、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏に訊いた。

2022年に向け「出口戦略」を持った取り組み

冒頭、鷲谷氏は「上場企業として、これまでの提携がどう進捗しているかは、重要なマイルストーンだ」と前置きしたうえで、物流専用機の共同開発においてエアロネクストの4D GRAVITYを採用した狙いをこう語った。

鷲谷氏:物流専用機を仕上げていくうえで必要な技術は、どんどん連携していく。2022年に向けていかに早く物流専用機を市場に投下し、物流ドローン市場を立ち上げていくかが重要だ。経営戦略として、技術分野によっては自社でゼロからR&Dするよりもライセンスして市場を一緒に立ち上げていく方が、早期にドローン市場の期待に応えられると考えた。

ACSLの得意領域は、制御技術開発だ。「エアロネクストは、我々が重点的に開発投資してきた分野とは違う領域を追求されてきた」と、補完的な存在であると説明した。

今後は、QCDが見合う物流専用量産機の具現化を目指す。4D GRAVITY搭載にあたっては、ACSLがこれまで開発してきたような制御基板を機体の中心に置く構造を大きく再考する必要がある。このため仕様は未確定とのことだが、機体スペック想定は明確なようだ。

鷲谷氏:ペイロードは、いま我々の機体が運んでいる3kgペイロードより、もう少しペイロードの大きい5〜7kgを、飛行距離は、現行機種の12〜15kmと同等レベルは目指したい。逆に、これを切るようなら、市場に投下する意味があまりないと考えている。

販売先はまだ検討段階とのこと。鷲谷氏は「何らかの出口戦略は持った上で進めている」と発言するに留めたが、ACSLは2019年、ANAホールディングスが福岡県福岡市や長崎県五島市で行ったドローン配送実証実験に参画した実績を持つ。また、エアロネクストは2020年5月20日にANAホールディングスと物流専用機の共同開発に向けた業務提携を発表しており、すでにANAからの要望を受けた4D GRAVITY搭載の試作機を開発しているという。

エアロネクスト、初のライセンシー

今回のライセンス契約は、エアロネクストにとっても大きなマイルストーンだ。田路氏は、「量産機の製造販売権のライセンスは世界初。僕らにとっては、一段ステージを引き上げていただいたという認識」だと語った。そして田路氏は、「主に離島で使うための飛距離の長い機体ということにフォーカスして、ANAからの要望を吸収する形で開発した」と、最新の試作機を紹介。

ACSLとの物流専用機開発が、この試作機をベースに進むかどうかは、まだこれから検討する段階だというが、鷲谷氏はエアロネクストとのライセンス契約におけるメリットをこう説明する。

鷲谷氏:エアロネクストさんには、自社チームで理論を具現化した“ちゃんと飛行できる試作機”を開発されており、ベースとなる図面などもある。これらを開発のスタート地点としてリファレンスできることは、新規機体開発をゼロからやるより効果的だ。

4D GRAVITYの特許ポートフォリオ群をライセンスすることで、当然、機体の原価と販売価格は上がる。しかし両社は「市場をいかに早く伸ばすか」という共通の課題認識のもと、長期的な繋がりの中で双方からの価格交渉の余地も念頭に置きながら、QCD達成の最適解を模索していく構えだ。

また田路氏は、エアロネクストの今後の展開について、「ライセンスビジネスは、市場拡大とともに事業成長できる。今回のライセンス契約を機に、今後は物流領域における顧客開発にも乗り出したい」と語った。要は、ライセンス事業とサービス事業の両輪を目指すという。

「Next DELIVERY」発表を予告

田路氏:エアロネクストとしては、もう一段事業を進めたい。2020年度中、3月末までに、ドローン配送サービス事業自体を立ち上げようと思っている。

田路氏はこのように語り、エアロネクストがライセンスビジネスで得た収益を新規事業開発に投資し、配送サービスを手がけることで、ライセンスビジネスをさらに広げていく構想を練っていることを明かした。この取材後「Next DELIVERY」構想の一つ物流専用ドローンが発表された。

田路氏:ACSLさんと組めば、レベル4を達成できる製造品質で、量産レベルの機体を作れる。これでようやく物流全体のイノベーションを本気で考えている会社とも会話ができるようになる。日本におけるドローン物流の実証実験は、荷物がそこにあって、積んで運んで降ろすという部分しかまだなされていないので、僕たちはこれからその前後を作りにいきたい。

そのコンセプトである「Next DELIVERY」についての詳細は伏せられたが、早ければ10月には発表できるとのこと。今回のライセンス契約を含めたさまざまなパートナーシップが、今後どのような新たな座組みへと発展するのか注目したい。

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